12.ドカデイマルティーノ国立陶磁館(ナポリ):旧宮廷をそのまま美術館にした典型的な例であるが,展示品は美術展示ケースに収められている。陶磁器が主体であるが少数の金工品や漆工芸品も展示されている。陶磁器のカタログが出版されているので詳しくは省略する。13.フランチェスコ会民俗博物館(フィエゾレ):金工品についてのカタログが出ている。特に優品は見当たらず,中以下の工芸品,民芸品類が主である。14. トリエステ市立美術館各コレクション:陶磁器,漆工芸,金工,武具類など工芸品中心のコレクションである。港街で船員などの持ち帰った寄せ集めらしいがコレクション由来についての詳細は未調査。質的には中級であろうか,総数約800〜900,浮世絵版画の詳細なカタログが出ている。漆類,武具などは保存のための清掃,修理,保存収納のノウハウ資料など望まれた。15.スティベルト武具博物館(フイレンツェ):詳しいカタログなども出ているので詳しくは省略する。最近,福原栄子さんにより漆工芸品の保存修理が行われ,日本部門の新たな展示がされている。キオッソーネ美術館,ヴェニス国立東洋武術館などカタログなど公開出版物もあり,日本で修理などもされてよく知られているので,ここでは省略する。以上,公開されていない各資料,特に写真資料などを収集するのは決して簡単ではなかったが,結果的に収集した資料は相当の量になったので一部を簡単にまとめるのに終わった。結果として,調査期限ぎりぎりまで実地調査を進行させる形となり,調査結果を公表する段階に至らなかったのは残念である。まだ,現在請求中である資料,充分に検討のできなかった資料,情報を提供されたのに実地調査できなかった訪問先など,期限内に果たせなかった課題は多い。現在請求中資料など未収集の資料を追加などして今後整理して,まとめたい。さらに,今回の調査によって出てきた手がかりをもう少し追求しでもみたい。出来れば,筆者自身の専門分野に少し,焦点を絞って調査研究を一歩深めることが出来ればなどと願っている。一方,多くの訪問先美術館で担当者の方々は,日本からの修復援助をはじめ,保存-741-
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