(3) 国際会議出席de las Cuevas)である〔図I参照〕。この修道院はベラスケスと同時代の宗教画家,“修① 国際会議名:国際シンポジウム“ベラスケス”(SymposiumInternacional Velazquez) 出席者:上智大学外国語学部教授大高保二郎期間:1999年11月8日〜11日派遣国:スペイン,セピーリャセピーリャは旧モスクの巨大な塔ヒラルダがそびえ,春は聖週間の祝祭で賑わうアンダルシアの大都会である。イスラム教とキリスト教が歴史的に交錯したこの古都で,1599年,バロック絵画を代表する巨匠の1人デイエゴ・ベラスケス(1660年没)は生まれた。従って本年は生誕400年という記念すべき年で来たる2000年春にかけて,貴重な特別展やシンポジウム,記念出版が実現し,今後も企画されている。特にアンダルシア評議会の主催による画家の生地での特別展「ベラスケスとセピーリャJ(10〜12月)と,また同時開催の国際シンポジウム“ベラスケス”(11月8日〜11日)は,前者が従来看過されてきた初期ベラスケスの全体像を初めて解明し得たばかりでなく,後者が1960年の没後300年記念(注1)以来のベラスケス研究の再検証を企図するものであったという点においていずれも画期的な試みであったと言えよう。それは,報告者の個人的な感想、かもしれぬが,“ベラスケス像の新地平”を準備するものであった。同シンポジウムは4日間で,延べ40時間近くに及び,その全容は来春(2000年)刊行が予定される国際学会報告書に譲ることとして,ここでは新たな成果とベラスケス研究の未来を要約・報告してみよう(注2)。主催者はスペイン自治府のlつ,アンダルシア評議会(Juntade Andalucia)の文化財産総局で,アンダルシア現代美術センターが実行委員会を務めていた。会場となったのはグァダルキビール河の中州,通称“島(イスラ)”にたつ元カルトゥジオ会の壮大かつ端麗な修道院,サンタ・マリア・デ・ラス・クエパス(LaCart可ade Santa M紅白道士達の画家”の仇名をもっスルパランゆかりの場所で,また1992年のセピーリャ万博の会場のひとつともなった。その回廊に突きだした簡素な礼拝堂がシンポジウムに,-743-
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