nHu qL ためたけ2.物産について(生萎,赤穂の塩,鳥の羽毛,蜜柑,寒天など)3.貿易上の問題点(貿易の関税など)5.その他(工人の心得など)レッサーに海外輸出拡大のための提言を求め,この旅行には,博物館員の石田為武と通訳の坂田春男,及び英国公使館書記官ジェームズ・サモレーが同行した。ドレッサーは,陶磁器や漆器,金工や染織など,各地の工芸品の生産地を視察し,製品改良のためのさまざまなアドバイスを与えた。またドレッサーは,英国に持ち帰る物品の他に,米国のティファニ一社から依頼された膨大な数の美術工芸品を購入している(注17)。『英国ドクトルドレッセル同行報告書』明治10年10月17日『石田為武筆録英国ドクトルドレッセル同行報告書j(以下『同行報告書j)は,日本側の公式記録であり,視察した各地の工芸品や物産についてのドレッサーの言葉を,石田の覚え書きを加えて書かれたものである。この内容は,70項目に及ぶ。1.工芸品・工業製品について(陶磁器,漆器,金工,染織品,七宝など)4.日本各地の所見(高野山,日光,その他社寺仏閣など)工芸品・工業製品について1962年のロンドン万博に,オールコックが収集した日本の美術工芸品が出品され,これを見たドレッサーは強い衝撃を受けた。その後自身でも日本の美術品を収集し研究するとともに,その輸入にも携わっていたことから,日本の製品について十分な知識を持っていたといえる。ドレッサーが日本の陶磁器に下した評価は非常に厳しい。多くの産地の陶磁器には,I極メテ精巧ニアラズ,輸出ニ適サズJとの評価が下され,文様や製法の改善,西洋の噌好に合わせる改良点を指摘した。金工品や漆器については,比較的高い評価を与えているが,ドレッサーが最も高い評価をしたのが友禅や西陣などの染織品や有馬の竹細工などであった。ドレッサーのユニークな視点は,工芸品を部品として輸出し,英国内で完成品として製造する事を提案していることであろう。たとえば,欄間などに使われている寄木細工を本棚やキャビネットなどの扉に応用するアイデアなどである。そのほか,製造
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