115, 116を除いて,これらの布は「ボンパjという。こうした布はかつてたくさん115, 116は見たことがない。2 アスニ氏110, 112, 113~116は,ここで作られた「カイン・テヌン(kaintenun) Jである。113, 114は女性用,115, 116は男女兼用。109, 111, 117, 118は,パレンパンのものではないか。* iカイン・テヌン」はインドネシア語で「織物jの意味。3 ジャズリ氏109は「カイン・ソンケット(kainsongket) J。金糸は高価なので,身分の高い人のも113, 114は見たことがある。115, 116は「ドガンjである。* iソンケットjはインドネシア語で金糸の紋織を意味する。1 M.サマン氏この地域には身にまとう布に,以下の通り3種類の名称(パスマ語)がある0・ボンパ(bompak)…男性用・チネパ(cinebak)…男性用.ドガン(dogan)…女性用あったが,皆売り払ってしまった。かつてはここにあった布は,1964年の危機(スカルノ政権の最末期)の時,貧困にあえいで皆手放してしまった。どれも見たことがない。(ボンパを知っているかという問いには)ボンパは胸の高さまで着る腰布である。4 マルズキ氏の。以上のように,広義のピダは,さまざまな呼び方をされている。アスニ氏の「カイン・テヌン(織物)J,マルズキ氏の「カイン・ソンケット(紋織の布)Jはそれぞれ,インドネシア語での一般名調であり,特別な呼称とは言いがたい。その中で,サマン氏による布の3つの呼称はパスマ語であり,管見の範囲ではいままで文献で目にしたことがなく貴重な情報である。また,他の人々へも通りのよい言葉であったことから,この地方では一般に使われた言葉と思われる。202
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