鹿島美術研究 年報第18号別冊(2001)
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「無題T24J(1961年,油彩・カンヴァス,130.0x 162. Ocm,個人蔵,パリ)(図21)「無題T25J(1962年,油彩・カンヴァス,130.0 x 162. Ocm,個人蔵,パリ)「無題T33(no.52)J (1962年,油彩・カンヴァス,81. OX 116. Ocm,個人蔵,パリ)〔図22J「無題T37(no.47)J (1962年,油彩・カンヴァス,81.OX 116. Ocm,個人蔵,パリ)「無題T46(no.38)J (1962年,油彩・カンヴァス,89.0X1l6.0cm,個人蔵,パリ)〔図23J「無題T52(no.30)J (1962年,油彩・カンヴァス,97. OX 130. Ocm,スタドラー画廊蔵,パリ)「無題T62(no.23)J (1962年,油彩・カンヴァス,97. OX 130. Ocm,スタドラー画廊蔵,パリ)以上の日本国内外での調査から,白髪一雄の「水誹伝シリーズj全体の半数以上がいまだ海外にあると思われ,しかも「水福村云シリーズ」に属さない作品もかなりの数が海外に残っていることが確認された。具体のもっとも代表的な作家である白髪一雄の絵画作品のこうした状況から,海外に流出した他の作家たちの絵画作品も,概ね同様の状況にあると推測して差し支えないと思われる。「具体」の絵画作品が海外に流出したルートはタピエを経由したものがほとんどであったが,必ずしもそれだけではなかった。例えば1959(昭和34)年10月の第II回プレミオ・リッソーネ(ラ・ブッソーラ画廊,リッソーネ)で白髪一雄の作品〔図24Jが買い上げ賞を受賞し,海外での所蔵となったことなどが挙げられるが,残念ながらそれらの作品の現所在については,今回確認することはできなかった。「具体Jが解散して約30年,タピエが「具体jの絵画作品を盛んに海外に持ちだした頃からいえばすでに約40年の歳月が経過しているものの,作品のほとんどがいまだに画廊や個人の手にあり,商業的な理由やプライパシーの問題からその全容に迫ることは想像以上に困難であることを痛感させられた。今回の調査で得た情報を足がかりに,こうしたタピエ・ルート以外の作品や他の「具体Jの作家の作品について,今後も粘り強く調査を続けていきたい。なお,今回初めて明かとなった白髪一雄の「水詳伝シリーズ」の全容については,勤務する兵庫県立近代美術館で2001年6月から7月にかけて開催した「白髪一雄展jのカタログに図版とデータを収録し,関係者から好評を得た。-591-

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