している『塗料』について書かれている。『中国人は机,トランク,テーブルなどの所謂,家具類だけではなく,室内の壁面から天井,床に至る何から何まで木の板で作り上げる。そしてさらに,その表面を素晴らしく多彩で,しかも,優美な金色の装飾で仕上げるのである。(中略)この材料は『漆』と呼ばれる。その採取は夏季に行われ,これによって中国朱やその他,様々な色がつくられる。(中略)しかし,この素材は乾く前に毒性のある蒸発物を発散し,使用する人は青白く膨れ上がるので,敬遠されるのだが,これは簡単に治癒する。この塗料は,乾くのに長い時聞がかかるが,気温の低くない湿度の高い場所が適している。この「漆」を使用した製品の質がよいことは十分に知られているために,中国や日本から欧羅巴に輸出されている。jJ「漆jという素材について:「日本で採取される『塗料』は漆(Uruxi)と呼ばれ,ある種の樹木即ち,中国では九月に採集される種類の樹木であるのだが,日本の陰暦八月に以下のような方法で行われる。幹の樹皮先端から根元まで,あまり深くない刻みを入れる。この樹液に触れると体の触れた部分は捧くなって,しまいには熱を持って痛くなってくるから,決して触ってはいけない。略J「螺鋼jについて:「東インドに滞在しているある友人から『外国(未開地)で使用する塗料』について書かれたあるポルトガル語の書物が送られてきた。この書物は中国大帝国からさほど遠くない日本という島国において使用される『塗料』について書かれている。即ち,この『塗料Jで日本人は,机や長持ちゃ刀の柄その他に唐草模様のようなアラビア模様を金で装飾する。しかし,中国人程には完壁に出来ない。東インドのベンガラ(ベンガル)と呼ばれる街で通常売られている箱類は,日本から運ばれた品で,大抵,箔で装飾されていて,この箔の聞に光の方向によって色が変わる特殊な『断片Jが象最されている。この断片をよく観察すると貝で出来ているとわかり,この員片は真珠が見つかる種類の員であるという。略」中国漆の下地について:下のような下塗りを行う。豚の血,豚はイタリアでの牛のようなものだが,この豚の血を生石灰の粉末と混ぜてこの混合物で木板を覆う。我々が石膏や糊剤を使用するのと同様である。それから,軽石のような類で滑らかにして乾燥させる。J-674-rr塗料』を板に塗布する前に,必ずではないが,中国人は画家の下塗りと同様に以
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