る,などシンプjレな{乍品となっている。a 1広縁皿シリーズJC図12J7枚の皿は深さや縁幅も同一ではなく,意匠も数種であるが,技法や様式に共通点や類似性が認められる。例えば,主題では,起立する雄鶏と餌を突付く雌鶏一対が繰り返される,技法的では鶏の鶏冠などに朱が加えられているなどである。縁が広く取られ,非常に浅い形の5枚の皿である。雌雄鶏文広縁蒔絵皿一対,雌雄鶏図広縁蒔絵皿の広縁の意匠は花唐草には違いなかろうが,数種の折枝の花々が誠に華やかにアレンジされ全体的に意匠が大柄になる。11青水図水注Jと「住吉図盆」より大柄で派手な模様である。高蒔絵も前者のように薄肉ではなくなり,盛上が大きく大雑把になっている。「蒔絵西洋紋章入り皿」個人蔵,京都製とされる,この作例に形態,装飾意匠,技法など類似していると見る。すべて,黒地に高蒔絵,平蒔絵で加飾され,技法は類似する。どちらのシリーズもほぼ近似する寸法,類似意匠であるが,同一模様同一寸法に作られたセットではない。椀側面カーヴ,口の広き方などがそれぞれ異なる。皿も同様で,縁模様は七宝花菱や唐草と異なる。さらに意匠は「七宝花菱繋ぎ」であっても,それぞれ少しずつ変化があり,同一ではない。皿の見込み模様や椀の外側は,水際の岩に松や柳,家屋など。これらも又,一様で、はない類似意匠が繰り返される。例えば,家屋は立派で楼閣であったり,屋根に宝塔が付いていたり,または,藁葺きや葦茸き屋根のような苫屋,汐汲み小屋のようであったりするというようにである。幕末一明治期などに西洋の習慣に従って輸出用に作られた磁器類に見られるような例えば「コーヒーやティーセット12人分」というような「揃いのセットjとは意図の異なる別のシリーズである。すでに,A.ヨーロッパ摸倣漆製の項で触れたように,このシリーズは見本用であっただろう。この作例において最も繰り返されている意匠は,1松」と「水際」である。水際に汐汲み小屋は能の「松風」を意図した主題であろうか。「蒔絵小皿jシリーズのうち四枚の皿,少しす法の大きい「楼閣遠山図蒔絵皿」は,カタログ「栄光のオランダ絵画と日本」掲載図版番号149,150,151に類似すると見る。同カタログでは,制作年代は江戸時代中期,京都製とされている。b 1蒔絵小皿シリーズ」及び「蒔絵小椀シリーズ」687
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