phU oo c 1十六稜華盆J,I八角盆一対」b項で挙げた「広縁皿シリーズJ1蒔絵小皿シリーズ」及び「蒔絵小椀シリーズJと同様にシンプル化が認められ,ヨーロッパ風の形態が取り入れられているといえよう。「十六稜華盆J,I八角盆一対」は,八角形,または,十六稜華の楕円形というような日本の伝統形態には見られない形態であり,上述のヨルグ氏の挙げる漆塗り星型の「楼閣山水図皿Jと形態は異なるものの,皿のす法,縁の取り方,黒塗りの余白など類似点も認められる。ヨーロッパ風の形態が取入られていると判断してよいのではないだろうか。また,1八角形Jの作例は,マーサボイヤー著117世紀の輸出漆器」に掲載される“Basinand Jugs" (収蔵番号E.D. c. 64) 1八角水鉢」が挙げられる。第六章ピッティ宮に収蔵される漆器コレクションの特徴本文のなかで各々の漆器については述べたので,ここではコレクション全体を対象にした特徴をまとめておきたい。ピッテイ宮所蔵漆工芸品は,ある特定の時期に特定のコレクターによって収集されたコレクションではない。ピッテイ宮史と密接に結びついて長期間に渡り,様々な経由を経て同宮に収まったコレクションと考えられる。① 収集漆器の総数が決して多くないこと,そして,収集品の質が比較的に高い。② 南蛮様式の漆器類が含まれている。③ 蛮漆器羽田板を使用した家具が含まれる。④ コレクションの9割以上がヨーロッパ人の注文や好みに合わせて輸出用に制作された漆器であると考えられる。⑤ 1600年後半から1700年代にヨーロッパで流行した摸倣漆製所蔵品が全体の三割以制作地/制作年代南蛮漆器ヨーロッパ製日本製中国製総数注:ここでの総数は,日本製とヨーロッパ製合作家具を日本とヨーロッパで2回,数に入れているので,実際の確認、総数73点は延べ総数74点になる。桃山一江戸時代前期江戸時代前期江戸時代中期江戸時代後期1800~ 1842年収蔵品制作年代表紅毛漆器前期紅毛漆器中期紅毛漆器後期延総数l 17世紀後半18世紀3 4 40 3 45 2 2 23 27 45 23 74 1
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