5,守屋茂『道元禅師研究京都周辺における道元とその宗門ー』同朋舎,1984年6,沢村専太郎『日本絵画史の研究』伝神画家(職業画家)が現れた。日本禅林もそのような画家を招き,大陸の画風を学ばせ,多くの頂相を製作した。あるときは,どうしても,画家に描かせたものが自分の意に合わなかったなら,わざわざ中国の画家に依頼したこともあると伝えられているが,しかし,本人の真影は遠く離れた外国に委託するのはどうして出来ょうか,想f象もできないのである。したがって,頂相という肖像画の伝来は,日本美術史のジャンルの中で重要な一つであり,看過できない。しかし,従来,美術史上において注目されているのは,はほ臨済宗系統の頂相のみである。曹洞宗の頂相にはほとんど論及されてない。勿論,数的,質的には,曹洞宗のものは臨済宗に及ばないところがあったことは事実であるが,しかし,知浄,道元の自賛頂相は,独自な面白を呈し,無視することはできないと確信している。小論は,以上のような意図から,初期日本曹洞宗祖師の頂相の研究を試みてきた。道元から紹革までを中心として,その実態をさまざまな角度から論証し,究明した。このような試みは,必ず,多くの誤りと欠落があるであろうから,謹んで斯界の先達,研究者からの御批正を頂きたく,将来の研究を一層深めたいと願ってやまないものである。主要な参考書目2,大久保道舟『修訂増補道元禅師伝の研究』筑摩書房,1966年3,伊藤慶道『道元禅師の研究J名著普及会,1980年4,竹内道雄『永平二祖孤雲懐奨禅師伝』春秋社,1982年7,森克己『増補日宋文化交流の諸問題』国書刊行会,1975年8,海老根聡郎「泰和の粛氏ーある伝神一家←Jr国華』第1225号,2000年9,石井修道『宋代禅宗史の研究j大東出版社,1987年1 ,鏡島元隆『天童如浄禅師の研究』春秋社,1983年10,佐藤秀孝「義介・義手と入宋問題j駒沢大学『宗学研究』第32号,1990年星野書庖,1931年他271
元のページ ../index.html#280