鹿島美術研究 年報第19号別冊(2002)
555/670

⑭ 大昔探検隊収集墓葬美術資料のリスト整理と構図・原形の復元研究者:東海大学文学部助教授片山章雄序論した関係資料のリスト整理,グルーピング,同一資料または同一群資料で分散したものを再検討し,また一部については,接合の可否に及ぶ構図・原形の復元を試みるものである。墓葬美術資料は,ここでは新彊維吾爾自治区の吐魯番(トルファン)の古墳群(アスターナ・カラホージャ古墳群)から出土ないしは将来された資料を中心とした。本調査研究のうち,リスト整理については,後に述べるように期間内の情報環境と作業・研究の性質から,申請時に予定したように別の冊子をもって提示することとした。したがってこの報告ではそれ以外の構図・原形の復元に焦点を絞ることとする。で開催され,並行して特別展「シルクロード・中央アジアを巡った探検家たち一一一大谷ミッションを中心として開始時に入手し,最新のものとなるはず、だったが,実際には以後も少なからぬ関係情報が錯綜した。まず7月6日から9月5日まで,長岡市の新潟県立近代美術館で「エルミタージュ美術館名品展ATCミュージアム)が開催され,吐魯番の墓葬美術資料も出陳された。また,別の共同研究に参加し8月20日から2週間,北京・ウルムチ・トルファンを訪問して関係資料の調査中に情報の交換と収集に努めたが,帰国後に,当初調査を予定していた旅順博物館の関係資料を含む展覧会が2002年春に日本で開催されるとの情報を得たため,かつて訪問した旅順での再調査にも影響が生じる可能性があることを予測した。一方,11月10日から12日,早稲田大学で「シルクロード国際シンポジウムクロード一一jが開催され初日に旧知の韓国の関丙動氏の報告「韓国・国立中央博物館所蔵の大谷コレクション一一トルファン出土文物の性格および研究状況一一」があった。筆者はこの機会に,在ソウルの関係資料は博物館の新築開館まで凍結の状態本調査研究は,表題のように大谷探検隊(1902~1914年)が中央アジア地域で収集第1章情報環境と研究概要2001年5月,国際シンポジウム「現代シルクロードのイスラーム復興」が龍谷大学jがあり同名の冊子も作成された。これは本調査研究生きる喜びJ (9月15円から11月4円まで大阪市駐るシル546

元のページ  ../index.html#555

このブックを見る