鹿島美術研究 年報第19号別冊(2002)
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(3) r王の書』図像サイクルは,r王の喜』第一書扉絵(お1.83v) ,第二書扉絵(fol.93) , (5) 近頃プリンストン大学のキリスト教美術インテゃツクスの「ダビデjの項目が出版られる。SBのテキストは,これを採用していることから,本稿ではこの名称を用いた。『能言』扉絵(fo1.188v)にあらわされている。J.ゲーデは,その古典主義的傾向から,その手本として4世紀からイコノクラスム以前の聞にコンスタンチノープルで制作された写本を想定している。GAEHDE,J. E., The Painters of the Caro lingian Bible Manuscript of San Paoloωri le Mura in Ron民(Ph.D.), New York University, New York 1963 ;一一一一・,Th巴PictorialSources of the Illustrations to the Books of Kings, Proverbs, Judith and Maccabees in the Carolingian Bible of San Paolo fuori le Mura in Rome, in: Fruhmittelalterliche Studien, 9, 1975, 359-389 参問。(4) 333は,コラム形式による詳細な図像サイクルをもつことから,ヴァイツマンにより初期キリスト教時代のプロトタイプに遡るものと見なされている。WEITZ-MANN, K.,“Die Illustration der Septuaginta," Munchner・lahrbuchder bildenden Kunst, 3/4, 1952/53, 96 -120参照。333の挿絵全てを網羅した図版は,以下の文献にある。LASSUS,J巴an,L'Illustration Byzantine du Libre des Rois-Vaticanus Grae-cus 333, Paris 1973 された。ここに各図像の作品リストとダピデ伝図像に関する主要文献リストが収められていることから,本稿ではこれらを割愛した。HOURIHANE,Colum (ed. ) , King David in the lndex of Christian Art, Princeton University Press, 2002 (6) GAEHDE, J. E., op. cit. (7) その他の相違点は,ダピデとゴリアテの身長の差である。銀皿の構図は,古代にまで遡る伝統的な決闘場面を範としたものでこうした絵画伝統から両者はほぼ同体格であらわされていると考えられる。西方世界においては,両者の体格の差が強調される傾向にあり,SBは,銀皿タイプの図像を西方世界の伝統に従って変更したものと考えられる。永津峻11ダヴイデとゴリアテの戦いJの図像の変遷一紀元後三世紀から十世紀までJr和光大学人文学部紀要』第15号1980年45-91頁(8) ゴリアテを中心とする左右対称の図像の形成を探る上で,永津峻教授によるSB562

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