鹿島美術研究 年報第19号別冊(2002)
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スコミュニケーションともいえる意タ判主を覚えるような認識のギャップによってイ足進されるという面がよく理解され,紹介映像のユーモラスな内容(かしこまった会議とのギャップを生じさせたコミュニケーションともいえる)で観衆の笑いを誘っていた。最後にラファエル・ロザーノ・ヘメル(メディアアーテイスト,メキシコ在住)が同じく自分の作品を例に取りながら,テレ・プレゼンスについて,そして「参加」という行為について述べた。ヘメルは,固有なもの,場所,時間を超えて,多くの人々が協同することに関心を持ち,その手段としで情報技術を応用している。人々の「参加jは何かを「変えるJという行為によって誘発されることが経験的に語られ,この終わりない変化の様態を創りあげることが現代においていかに重要なことなのかを伝えようとしていた。観客を交えた議論では,リナックスなどを制作するために採用されたオープンソースという協同の手段について,そしてロボットと記憶の問題が話題になった。とくに後者は私たち人聞が,どのように自分自身の同一性を保持するのかという点に関わり,ロボットのような最新技術を目の前にした時代において,記憶について考えることがますます必要であるという認識を新たにした。656

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