注(2) N. J. Kromの番号による。( 1) 「隠れた基壇」はMahakarmavibanga(『分別善悪応報経』)、第一回廊主壁上段Lal山vistara(「方広大荘厳経j)、第一回廊主壁下段、第一回廊欄楯上下段、第二回廊欄楯はJataka(本生謹)およびAvadana (警輪車圭)、第二回廊主壁、第三回廊主壁と欄楯、第四回廊欄楯はGandavyiiha(『華厳経入法界品』)、第四回廊主壌はBhadracarI(「普賢行願讃j)に基づいているとされる。(3) これらの刻文は、レリーフが完成した後に、彫刻家が削り去ることになっていた。したがって、刻丈があるレリーフはまだ完成していないといつことになる。しかし、刻文があるにもかかわらず完成しているレリーフも見られる。この小論では、筆者はこの問題にはこれ以上触れない。(4) 0.40、0.44などのように彫刻が完成した後に、破壊されたと思われるレリーフがいくつか見られる。「隠れた基壇jと、それを覆っている現在の基壇との石材の連結をよくするためだと考えられているが、確かではない。これらの破壊されたレリーフは、未完成レリーフの数には入れていない。(5) Bernet-Kempers, J. Ageless Borobudur ; Buddhist mysteηin stone, decay and restoration ; Mendut αnd Pawon ; Folklz戸inancient Java, Wassenaar: Servire, 1976年,62頁。(6) 「右繰」。右回りに巡ること。(7) Fontein, J. The Law of Cause and Effect in ancient laνa, Amsterdam: North Holland Publishing Company, 1989年,74頁。(8) Font巴in前掲書、7475頁。目、鼻、口などの顔の詳細部分は、他の部分よりも早く仕上げられたようである。樹木のモチーフは、比較的遅く彫り始められたように思われる。また、一画面のレリーフは、複数の彫刻家によって彫られたようである。一画面内で彫刻の進み具合が、場所によって違っているからである。現在、レリーフが部分的に未完成である本来の理由を知るのは困難で、ある。この小論では、さまざまな彫刻工程を示している「隠れた基壇」の未完成レリーフに基づいて注意深く推測してきたが、ボロブドウールの全レリーフからさらなる可能性を考え、より多くの作例と証拠を見つけることが必要であろう。名な名所のひとつであり、世界遺産にも登録された。ボロブドウールを再び考古学的に発掘し、新たな発見をするのは難しいと思われる。今後は、ボロブドウールに施された1460面の説話レリーフを、主題比定という観点からだけではなく、レリーフ自体、モチーフのひとつひとつを詳細に調査し、作風の展開について考察していきたい。そのことがボロブドウールの建造過程を考える際にも有効であろう。1983年に大規模な修復工事が終了し、現在ボロブドウールはインドネシアで最も有8
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