口同Uハhu(1) 右向きに台座に腰掛ける仏に、象(3頭)と獅子(4頭か)が対面する。この場(2)左向きに台座に腰掛ける仏に対し、大袖の中国式の衣を着た貴族風人物(以下、(3)右向きに台座に腰掛ける仏に対し、多数の貴族風人物が花を捧げ、荷を負う象・魔王波旬と諸天採女、大自在天がそれぞれ供養しようとするが、釈尊はいずれの供養も受けようとせず、やって来た者たちは悲しみながら一面に住す。その時、東方に意楽美音という仏土があり、無辺身菩薩がその世界の仏から婆婆世界の釈尊に香飯を奉るよう勧められ、春属とともに裟婆世界を訪れる。その時三千大千世界の大地は六種に震動し、恐怖から大衆は四散しようとするが、文殊菩薩に諭され、これは意楽美音世界から無辺身菩薩が訪れるためと知り、彼の世界の虚空等如来の神変によって東方以外の九方の諸仏を見ることができる。無辺身菩薩は毛干しから蓮華を出し、蓮華から城邑、池泉、七宝船、師子座などを出現させるという神変を行い、釈尊に食を勧めるが、釈尊は供養を受けない。南・西・北方の諸仏の世界からも同様に菩薩が供養に訪れるが、釈尊は受け取らない。釈尊は神力でもって三千大千世界を極楽世界のように変じて荘厳し、光を放つ神変をあらわし、諸々の会衆は悲しみに沈む。以上が曇無識訳『大般浬繋経』巻ーの概要である。これをもとに、第420窟窟頂西面の図様を十食言すしてみたい。3 第420窟窟頂西面の図様と場面比定の試み西面の図様〔図3〕は、各場景の中心を仏と考える時、23の場景に区分できる。上段・中段・下段のそれぞれ右から左に向かつて番号を付し、その順に見てゆくことにする。なお、各場景にはl〜2個の縦長長方形の梼題が付されているが、すべて文字は確認できない状態である。く上段〉景は賀氏の言う『大般浬繋経』巻一寿命品(以下、大乗浬葉経と略称する)の「象王」が仏に対し最後の供養をしに来た場面に当たる(注3)。しかしここには獅子も描かれているため、同経の「獅子獣王」の供養の場面も含まれることになろう。単に貴族風人物と表記する)が脆いて花を捧げ、上空向かつて左に奏楽天人、右に中国の伝統的な鬼神と龍が飛来する場景である。この場景は賀氏の言う大乗浬繋経の「龍王」が仏に対し最後の供養をしに来た場面に当たると思われるが(注4)、龍王だけでなく、鬼神その他の供養、例えば「乾闇婆王」などの八部衆や「四方の風神Jなどが含まれていると考えられる。
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