(16) 東面との境界にまたがって描かれており、須弥山の前に阿修羅が立ち、その右左(13)右向きに台座に坐す仏に対し、貴族風人物が柄香炉を捧げ、あるいは幡・蓋を持点が経典に反する。同左向きに台座に坐す仏に対し、人物が何かを捧げ持っている。って立っており、その後に四角い宝帳を従えている。上空に天人が飛来する。この場景は、上述した(5)とともに、大乗浬繋経の「優婆塞jの供養と考えている。場景が二分されてしまうが、この二場景は上下の位置関係にあり、またこの部分の経典の記述は他の供養の記述より詳しく長いため、場面も二つに分けてあらわした可能性は考えられよう。同右向きに台座に坐す仏に対し、比丘が柄香炉を捧げ、多数の貴族風人物が並ぶ。同正面向きに台座に坐す仏の前に多数の比丘が平伏している。この場景と(14)のいずれかが、大乗浬繋経の「諸比JiJと「比E尼」のいずれかに当たるのではないかと考えられる。〈下段〉に天衣を纏った上半身裸形の天部形、左の天部形は楽を奏している。須弥山上には5棟の建築があり、それぞれ中に天部形が坐しているので、弥勤菩薩と四天王、あるいは帝釈天と四天王の可能性が考えられる。これらの左に、右向きに台座に坐す仏に対し、人物が花皿状の物を捧げ、他にも多数の人物が立っており、仏の背後には貴族風人物が立ち並ぶ。この場景は大乗浬繋経の「阿修羅王」「諸天子及び諸天王四天王Jの供養を合わせ描いたものか、二度目に出てくる「四天王、帝釈」や「毘摩質多阿修羅王」らの供養に当たるものと思われる。同右向きに台座に坐す仏に対し、羊の群と牛の群が並ぶ。この場景は賀氏の比定通り、大乗浬繋経の「水午・牛・羊」の供養であろう(注8)。倒右向きに台座に坐す仏に対し、貴族風人物が花状の物を捧げ、天衣と装身具をつけた上半身裸形の人物が大きな花皿を頭上に掲げる。この場景の人物には肉身の色が青灰色のものが含まれており、現在黒色の他の人物像と彩色が異なることから、大乗浬繋経の八部衆か「樹林神王」「持呪王」「貧色鬼魅」「天諸淫女」などの異形神の可能性が大きいであろう。倒右向きに台座に坐す仏に対し、甲胃をつけた武人が脆き、貴族風人物が立ち並ぶ。武人は一体だけであるため、「諸鬼神王Jの上首である毘沙門天の可能性が高い。。日)左向きの群像で、先頭に象の隊列が並び、貴族風人物が立ったり、幡・蓋を持ったりしており、4頭の馬が牽く車を従えている。その左側に城壁に固まれた堂内で正198
元のページ ../index.html#208