鹿島美術研究 年報第20号別冊(2003)
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(6)なと守カ苛前っていたことが判明する。5.さらにもう一つの仕切り棚には[661]、以下のようなインド製の遊び道具が入cm、幅5.lcm、奥行4.4cm。それに付随して蓋のついた四角形で胴のふくらんだ筒があり、この蓋には穴がある。高さ7.0cm、直径3.Semo 4人〈仕切り棚の内部に、長方形で、同じ漆塗りの、外側に大きな割り込みのある深い蓋を持つ小箱。高さ4.4cm、長さ9.5cm、奥行7.6cmo っている:一つの小箱の中に、銀製の主十三本。そのうちの二本は三本目よりも少し長い。左記に類似するが、銀製の円い板がついたものOまたさらに別の、小さな蓄積のようなものがついた真鍛製の柄状のもの。この小箱の上にはまた別の小箱があり、その中に漆塗りの非常に小さな四角形の箱が十個入っている。それぞれの箱の中にはZuckerdannenholzで作られた十二枚の札が入っており、それぞ、れに金で符号が描かれている。ただしそのうちの二枚は欠失している。この小箱の上には漆塗りされた板があり、中でさらに十に区切られているが、それぞれの区画には薄紅色の螺銅が貼り付けられている。また、これらの上に乗せる蓋付きの長方形の箱がある。ゑふさらにもう一つの引き出しには角ばった縦長で、両側に茶色の漆塗りを施された板が入っている。長さ8.9cm。出っ張った部分も含めた棚全体:高さ21.6cm、長さ24.lcm、奥行10.2cm これによれば当時は硯、水滴(1)、重香合(2)、香盆あるいは手記録盆と札筒(3)、折据箱(4)、火筋、鷲、灰押、銀葉鉄などの火道具、香札入れ、香札、銀葉盤(5)、香割台?幸運なことに、この香棚に酷似する囲内の伝世品「秋草蒔絵香棚」を調査する機会を得た〔図5a, b, c〕。窓枠に銀縁のない点、かなり小振りである点を除けば、蒔絵などは内部の斑梨地まで瓜二つである。外箱蓋表に「十種香の御たな」と記されたこの作品を参照すれば、日本宮殿の目録の記載が指し示す内容品を容易に想像することができる。アウグスト強王の香棚は、あと香筋建と、マリー・アントワネットの香箪笥に入っていたような香炉を揃えれば、国内でも充分に通用する十位香道具となるのである。目録を読めばヨーロッパの需要者が香道具の利用法を理解していなかったことは歴然としている。従って、彼らが注文をしたはずもなく、また、目、巨大、中の貿易商たちが需要者にとって意味をなさない割に製作に手間のかかる道具をわざわざ職人に作らせるはずもない。とすればやはり、囲内向けに市場生産された香道具が、貿易商の-242-

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