鹿島美術研究 年報第20号別冊(2003)
386/592

オプンエ注( 1)本報告は、調査研究の進展に伴い、現実指示性の問題に考察を絞り込んでいったため、申請当初(2) Monroe C. Beardsley, Aesthetics ; Problems in the Philosophy of Criticism, New York : Harcourt, (3) これらの数量的データは、Al巴idaAssmann, Erinnerungsriiume (8) ジャン=フランソワ・リオタール『文の抗争j陸井四郎ほか訳、法政大学出版局、1986年、71端な例である。現実指示の要素を引用しつつ美術にしかできない記憶表象を模索する試みをなんとか積極的に評価したいとする筆者の立場からすれば、こうしたゲルツの「対抗モニユメント」はあまりに対象性というものに懐疑的でありすぎると思われる。しかし、歴史的過去の事実を示すこと、それをアートとして造形すること、「像」として定着させることがはらむアホ。リアをふまえてみると、彼の作品コンセプトはそれへの明快な答えとなっていることが分かる。すなわち、あらゆる記憶のモニュメント化にたいする「対抗」なのである。に届け出た題目に、さらに内容補足的な副題を付した。った。(S.364)〈.”M.Fehl/B. Schellewald, Sigrid Sigurdsson Vor der Stille ジアム〉と題して別の場所で展示され、展覧会への出品作としては、防火壁のネームプレートとこのケースとがセットになっていた。ガラスケースのほうは展覧会の終了時に破棄された。376 h巴nGeロ,2146Steine -Mahnmal gegen Rassismus Saarbriicken, Stuttgart: Hatje, 1993 Brace and Company, 1958, pp. 269 278 kulturellen Gediichtnisses, Miinch巴n: C. H. Beck, 1999,におけるジグルドソンの作品言命に拠(4) M凶aelFehr, "Kunst alsKdln : Wienand, 1995, S. 15 (5) この作品の制作経緯は以下の文献に詳しい。JohnCzaplicka,“History, Aesth巴tics,and Contem-porary Commemorative Practice in Berlin”,New German C1itique (No. 65 Spring/Summer 1995), New York: T巴losPress,とくにpp.159173 (6) これとは別に、居住者たちの所持品や収容所への搬送名簿などを収めたガラスケースが〈ミュー(7) この作品の制作過程と、石に刻まれた土地名、日付の一覧は、以下の文献に記録されている。Jo-122頁(「指向対象、名前」)(9) James E. Young, The Texture of Memory Holocaust Memorials and Meaning, New Hav巴n/London : Yale University Press, 1993, p. 28 ‘Bewu~tsein von Geschichte,’一一SigridSigurdssons} Vor der Stille Formen und Wandlungen des Ein kollektiνes Gediichtnis,

元のページ  ../index.html#386

このブックを見る