鹿島美術研究 年報第20号別冊(2003)
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1979)。だが多くの場合は扱いやすさの点で混合物はあったのではないかと考えられman 1999)や、ギリシアのベナキ美術館での調査が知られ、とくにベナキ美術館のミB.近年の科学分析の成果プリニウス文献の最大の問題は、メデイウムとしての蜜蝋に混合した物質名を記さなかった点だ。もちろん、何も混ぜず純粋蜜蝋をメデイウムに使った可能性もあるし、現存するミイラ肖像画のうち、ガス・クロマトグラフイ一法での分析の結果、純粋蜜蝋の使用と判定された例もある(ピートリ美術館収蔵番号UC19611: Ramer る。ダンマル樹脂(天然化石樹脂)か松脂を加えたとする説(森田1986)、乳香またはアラビアゴム(Doxiadis1995)が候補としてあげられる(別稿でも言及。拙論2003)。限られた紙面の都合上、とくに重要と思われる成果をとりあげたい。まず、ミイラ肖像画の主要な支持体である板パネルと亜麻布のうち、板パネルに使用された木板は、従来地元産のエジプトイチジク(sycamorefig)が使われたとされてきた。だが、最近の大英博物館の調査で、英国内のミイラ肖像画82点(大英博物館、アシュモリアン美術館、ビートリ美術館ほか)の支持体として以下が判明した(c紅t-w時ht1997)。シナノキ(lime)柏(oak)(注2)エジプトイチジクモミノキ(fir)結論のみ記すと、シナノキと柏はエジプトでは自生せず、地中海周辺地域からの輸入木材と考えられる。これは肖像画の画材として特定の木材を用いる慣習を示唆し、ヘレニズム世界の影響を強く示すと思われる。そのほか、米国オハイオナトけリーブランド美術館のミイラ肖像画の技法調査(Ber-イラ肖像画(収蔵番号6878番)の詳細な画材分析は重要である(Kalligaet al. 1997)。顕微鏡での観察、断層写真の撮影、赤外線・紫外線写真の撮影によって詳細なデータを発表し、絵画層の重ね塗りについては最多で五層(背景の花瓶部分)までを確認した。だが蜜蝋に混合したメデイウムの一部をなす物質(構成成分は判明)を検査者は確定していない。この点は注目にあたいする。古代絵画の画材の問題は現在の科学技術を用いて単純に判定できるものではなく、文化史、動・植物学、鉱物学、物理、化学などの領域にまたがりこれらの分野との連携調査は今後の課題とする。64/82 (76.8%) 8/82 (9.8%) 8 /82 (9. 8%) 2/82 (2.4%) 414

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