面シルク・オーガンデイに手彩色象牙に彫刻面シルク地に彩色柄と骨木製、漆細工面一紙に手彩色柄と骨一象牙柄と骨真珠層496-〔図10〕扇フォールデイングフランス1895年頃L/355mm WI 40mm 19世紀末からベル・エポックの時代にかけて、扇のサイズはかつてなかったほど大きくなるが、この時代がピークで、これ以降、再び扇は小型化していくことになる。扇面は、生地やレース、羽といった軽い素材を用いたものが流行した。この扇には、男女、聞いた鳥篭、帽子がレンガ色のシルク地の上に描かれている。18世紀、「開いた鳥篭jは女性が男性を受け入れたことを示す図柄であったが、ここでも同様のアレゴリーが意図されているようである。絵と骨の真珠層は、金彩と銀彩によるデリケートな装飾がみられる。〔図11〕扇ブリゼオーストリア1870年頃L/235mm W /50mm 象牙に精織な彫刻がほどこされたブリゼ・ファンで、扇面中央のメダイヨンにはプットーが刻まれている。19世紀の後半、ドイツやオーストリアで製作された扇には、このような美しい細工のブリゼ・ファンが多く見られる。骨だけはシンプルに仕上げ、柄のみ意匠をこらす場合も多いが、この作例では骨の全てに透かし彫りがほどこされ、非常に手の込んだ細工の扇に仕上がっている。同様のタイプが、ファン・ミュージアムのエルミタージ、ユ・コレクションにある(注7)。〔図12〕扇カブリオレ中国広東1860年頃L/230mm WI 40mm カブリオレは、扇面が2層、3層、あるいはそれ以上の層が張り合わされたフォールデイング・タイプの扇で、各扇面の間で骨が露出しているものをいう。この呼称、は、折りたたみ式の幌馬車に由来している。この扇は、広東で製作された輸出用扇で、当時人気のあった中国の宮廷風景を描いた‘百顔’のモティーフが表の上部扇面、裏の下部扇面にあらわされ、花鳥のモティーフが表の下部扇面、裏の上部扇面にあわされている。朱色と緑色の房飾りが要部分のリングに付けられているが、扇の場合、房飾りは19世紀中頃まで見られないようである。〔図13〕扇フォールデイングヨーロッパ177080年頃L/270mm W/35mm 18世紀にヨーロッパでみられた中国趣味(シノワズリー)は、扇のモティーフにも見られ、この作例のように、中央に中国人を描いたものも少なくない。中央の窓に薄いグラスをはめて覗き穴としているが、このような扇をドミノとも言う。裏は単純な植物の図柄だが、18世紀の扇の趣向が楽しめる扇で、左に聞くと、中央にブドワール
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