ハhuるある作品群に注目した。アップリケ{乍品についてモンゴルの近代美術を概観するとき、他の地域では見られない作品群が存在する。それがアップリケ(縫付模様)作品である。その画題は、あらゆる階層や民族の人々の団結を訴えるものであったり、人民革命を称えるなど、社会主義的なものが特徴である。アップリケの作例は、現在のところ、15点を確認している(注5)。いずれも布による表装が施された掛幅装であり、絹、錦を組み合わせて縫い付けることで、画面を構成しており、1960年代から80年代の聞に制作されたものと考えられる。モンゴルでは、一般的にデールと呼ばれる民族衣装に、様々な模様の入った絹地が使用されるので、アップリケ作品に使われる絹は一般的な材料と言えるが、一部に使用されている錦は中国製で高価なものである。−近代以前のアップリケモンゴルでは、近代以前よりアップリケ制作の土台があった。14世紀頃に伝えられたチベット仏教が深く信仰され、仏像や仏画など多くの仏教美術が生み出された。モンゴルの仏教美術の特徴として、アップリケのタンカ(軸装絵画)が多いことがあげられる。チベットおいても、アップリケによるタンカの作例はあるが、その多くは儀式用の大きなサイズのタンカである。これは布の方が強度が高いため、出し入れの際に負担のかかる大作には適すると判断されたためであろう。しかし、モンゴルのアップリケ作品は、特に大きいものばかりではない。これは乾燥性の気候と、移動という生活様式の2つの要因から来たのではないかと推測される。古くからモンゴル高原では遊牧が営まれ、人々は移動を常としてきたが、これは寺院でも同じであり、寺院も移動式であったからである。アップリケのタンカ作品は、鮮やかな色彩や模様の布が使用され、絵画作品とちがって退色も少なく、現在までその美しさを留めている。こうした作品は、当時は主に僧によって制作されていた。−近代のアップリケ近代のアップリケ作品の制作を行った主な作家として、以下の4組の夫妻があげられる。u.ヤダムスレン(1905-86)、Ya.ルーニャ(1920)
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