るが、裏付けはとれない。石楠著『劉海粟伝』（注8）によれば、劉海粟は日中戦争初期、中華民国維新政府（健偏政権）への誘いを拒んだため威嚇されたという。また『劉海粟伝Jによれば、劉海粟を南洋から本国へ送還したのも、在兆銘政権に協力させるためであった。しかし、いずれも裏付けがとれない。『申報Jに載せられた記事によれば、彼と日本軍との親しい関係は否定できない。・『申報Jに掲載された記事された。同集には謝海燕（日中戦争期に劉海粟の代りに上海美術専科学校代理校長）の回顧文があり、「劉海粟は日本軍・上海市政府（健偏政権）の誘いを拒み、賓客を断って家に入れなかった」。彼が上海に送還された1943年の暮れの『申報』には「劉海粟個展」について、次のように記す。「当代名画家劉海粟氏、近以其名作国画西画百齢件、定自今日起至12月11日止、仮座成都路静安寺路口中国画苑公開展覧、其友人張ー鵬林康侯等為劉氏挙行預展、特於昨日下午4時至6時、在中国画苑茶点招待各界参観、到有盟邦方面東亜同文会副会長津田中将、海軍武官府長近藤少将、塩田大尉、陸軍部川本大佐、日本大使館奥村課長、岩井書記官、華中振興公司高島総裁、阿部顧問等。中国方面周作民、朱撲之、陳紹賄、超晋卿、呉湖帆、丁伯雄、j番仰尭、周化人、柳雨生等3百飴人、極一時之盛、当由張一鵬、林康侯、陳彬訴等、聾劉海粟親自招待、巡廻観摩、風趣横生、至6時散会、今日起正式展覧、歓迎各界欣賞。」（『申報』1943年11個展には「日中各界三百余Jが参加し、日本の軍人や実力者の名前を連ねている。さらに翌年の1月には劉と夏英とが盛大な結婚式を挙行、式典にも日本人を含め500人にのぼる賓客が招かれており、「日本からの誘いを一切断った」という回想と矛盾する。「名画家劉海粟与夏英女士、於昨日下午5時、在上海工商聯誼会札庁、挙行結婚典礼、証婚人劉崇傑、介紹人慮秋鵬。曾高舗、中日来賓頗多、有奥村課長、贋田2000年、『劉海粟伝』に似た「偉人伝」−『劉海粟研究』（上海面報出版社）が出版月30日）。（下線筆者）530
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