鹿島美術研究 年報第20号別冊(2003)
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関命期② 第10回日韓美学研究会(東洋思想の伝統からの美学的可能性)招致研究者:韓国塞術綜合学校美術院教授韓国嶺南大学校造形大学教授韓国梨花女子大学校美術大学前教授報告者:神戸女学院大学文学部教授浜下昌宏間:2002年9月3日〜9月7日(5日間)今回お招きした3名の先生は、第l回日韓美学研究会以来の韓国側協力者の方々です。韓国からの総勢15名にのぼる参加研究者・院生・学生の引率および指導、ご自身による研究報告、シンポジウムにおける基調報告およびコメント、そしてとくに関周植先生には通訳という仕事を担っていただきました。擢寧弼先生は、会議3日目(9 月5日)に研究報告をされました。英語による報告であり、題目は“Propagationof Hellenistic art to Kyongju-the metropolis of the ancient Shilla kingdam”です。論文の全文は、いずれ公刊する本研究会の論文報告書に掲載予定ですが、英文アブストラクトは添付別紙の通りです。内容は、シルクロードに沿った芸術品に見られるライオンの像が新羅時代の慶州の仏教関係の像にも見られることをイコノグラフイ的に追跡された研究成果の報告でした。スライドをふんだんに使われて実証的で精織な報告は、研究およびその報告の模範ともいえる優れたものでした。食俊英先生は、シンポジウムの基調報告者として、英文論文“AComparative Study on Chinese and Greek Aesthetic Con-ceptions in regard to Reason Sense Dualism,,を報告されました。全文は樺先生の論文同様に近刊予定の論文報告書に掲載予定ですが、当日提出された論文は添付しである通りです。シンポジウムでは閲周植先生および権寧弼先生にコメンテーターとしても貢献していただきました。その発言内容については、おなじく論文報告書において紹介する予定です。今回は中国側からの参加者・報告書もあり、“東方美学”については日中韓の美学の範囲で考える傾向がありましたが、権先生のコメントは、アジアにおけるインド文明の要素を強調されたもので、たいへん示唆的でした。また、問先生は、既述のように、本研究会を通じて通訳の役割を果たしてくれました。このような専門的で学術的な学会では、通訳の困難さをいつも反省させられますが、専門的知識のみならず、日・英・中の各国語に通じておられる先生の存在は不可欠といってよいほどでした。第10回日韓美学研究会の成功裏の終了には、今回(開鹿島美術財団の助成によって招致した3先生のご活躍に負うこと大でありました。干韮寧弼周植俊英566

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