Tactatur)、Experimentade Coloribusにこの種の様々な処方が見られる。12世紀ロマネスク以降は、膠などの液体の接着剤だけではなく体質を混ぜたモルデDe Coloribus Diversis Modis Tractatur、Experimentade Coloribus、チェンニーニなどにン・アウデマルの『画家・写本彩飾家のための顔料の製法』、その他アルケリウスの手稿『写本彩飾に用いるさまざまの顔料について』(DeColoribus Diversis Modis ンテの上に金箔が施されるようになる。羊皮紙に膠で接着した金箔が平坦であるのに対し、モルデンテには体積があり盛り上がった効果が得られる上、磨くと膠以上に輝いてより金塊のように見えた。この技法はゴシックにかけて盛んに行われ、線刻なども始まった。これについては、ヘラクリウス、ペテルス・ド・サン・アウデマル、処方があり、接着剤の成分は膠、卵白、アラビアゴム、‘gumammoniac'など様々である。特に『ナポリ手稿(写本彩飾術)』には、アルメニア産ボーロや板絵の画家たちが使う石膏の使用、そして板絵の画家たちの方法にならって行う作業の指示があり、板絵と写本装飾の制作の関連性が見て取れることは興味深い。板絵に塗るボーロ石膏地へのボーロの施し方については、チェンニーニの第131、132章が明解である。ボーロと泡立てた卵白だけを材料として4回塗布するが、徐々にボーロの割合を増やし最上層を最も濃くする。現在ボーロに混ぜるのは通常膠であるが、中世では卵白が金箔を貼るときもボーロに混ぜるにも一般的であったことは、様々な手稿から、そして染色法による調査から明らかであり、M.C.ゲイはいくつかの板絵の試料から、金箔の下に卵白に溶いた黄色や赤色の黄士の層を発見した(注14)。彼女によると、この黄土の層の上には膠等の接着剤なしで金箔が貼られており、黄土の層に含まれる卵白がその役割を果たしていると言う。なおこの論文では、「ボーロ」ではなく「黄士」という言葉が使用されている。続いてチェンニーニは、第134章に金箔を置く方法を詳述する。水(少量の接着剤を混ぜて)でボーロの上をたっぷり濡らし、金箔を水に浮かせるように、吸い取らせるように置くこの方法をイタリア語で‘doraturaa guazzo' と呼ぶ。‘guazzo'は水浸しの意であり、字義通りたくさんの水を使うため羊皮紙には不可能であり、板絵の金地や額縁などに金箔を貼るのに適している。またこの方法では、金箔を多少大きめに貼り、乾いた後に余分にはみでた金箔を削り取らねばならないため、羊皮紙には向かない。-4-
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