鹿島美術研究 年報第21号別冊(2004)
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F-1 交趾色釉(白釉・紫釉・黄釉・緑色釉)J 呉州ー葉・南蛮亀蓋・南蛮メ切水指・祥瑞瓢箪・呉州儀陵・張子牛・青磁E 明炉地釉、亀助法青磁釉、久太法透手釉、焼接釉一方3 交趾香合身蓋内釉4 交趾青花盆子模古器型子之寸法G 造銅緑法、造界紅法、造鉛粉法、造硝子、琥珀硝子、緑色硝子、浅黄硝子、瑠璃硝子、赤色硝子H 倣縫州澄泥諸法、刷毛目上I 空焼彩紅雲色法、空焼風炉類占金法菱・青磁儀陵・青磁角・青磁千切蓋置・青磁一閑人蓋置・交趾(亀・布袋・狸・桃・笠牛)先に、この「陶法手録」に見える木米の陶技が多岐にわたると述べたが、それらをこのように概観してみると、その過半は釉料や釉上彩料、もしくはそれらの原料に関わるもので、陶磁器の製造全般にわたる記述が意図されたものでないことは明らかである。それ故、これを、例えば欽古堂亀祐の『陶器指南』(文政13年〔1830〕刊)のような体系的陶法書と直ちに比較することはできないが、手録には、また、陶技に対する木米ならではの関心も如実に見て取ることができる。そこで、以下にそのいくつかを取り上げ、木米陶技の実際を窺ってみることにしよう。西祥釉、西祥青花画釉木米は、その文人癖もあって「陶法手録」を漢文で記している。そのため、この西祥釉と西祥青花画釉の意味するところを直ちに理解するのは困難であるかに見える〔図l、図2〕。しかしながら、西祥青花画釉に注して「日本乾山明炉所焼倣西祥之画記があり、かつ、その白釉方に[画を書きて釉を睾(こ)むるは諸器陶冶の法なり。西祥の焼様に限りては白釉を輩め、しかして釉上に五彩をもって山水人物花鳥草獣を画きで焼成す」(原漢文)という注のあることなどに徴すれば、それらは、いわゆるオランダ写しに関するものであると見てよいだろう。その製法は、成形後の器胎に江州産の白絵土で化粧掛けを施し、それを素焼きした後、白釉を掛けで焼成するというもので、白釉は鉛粉5両・硝粉5両・石粉2両(又2 交趾(紫釉・黄釉・青釉)釉」とあること、また、その細目たる白釉方•青花釉・黄色釉等に「紅毛銹」なる注-41 -

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