同同(石青1両•青硝2両5銭)-43-10度に及ぶ色見焼きなど、その記述は至って具体的なものとなっている。で〔図3〕、それに続けて「日本青木米百辺試審定」とあるのを見れば、それが木米にも自負すべきものであったことが窺えるだろう。その五彩をここに掲げてみると次のようになる。緑色釉黄色釉紫色釉黒色画墨釉(硝粉5両・黒赫石10両)界紅色釉瑠璃釉青色釉いま、煩を厭わずこれらを列記したのは、従来ほとんど知られることのなかった木米釉上彩料の実際を紹介するという意図によるものであるが、それらには、さらに詳しい注記が付されたものも少なくない。なかでも、響紅色釉、即ち赤色顔料に頗る詳細な記述が見られるのは興味深いことと言えるだろう〔図4〕。赤色顔料の主材である弁柄は、緑蓉(ロウハ=硫酸第一鉄)の焼き返し、水簸による分粒、水洗脱酸、乳鉢での揺摩という過程を経て調製されるが、木米はそれぞれに詳細な注意を記し、また、弁柄に鉛白を加えた2ヶ月にもわたる揺研、白磁片上での赤色顔料の調製には弁柄と鉛白の他に膠も加えられるが、木米によれば、膠の分量は通常は8銭であるが、冬場は6銭、夏場では1両とする。また、夏場よりは冬場の調製に上々のものが得られるが、水を加えての擢研中にそれが凍り付けば、それはもう役に立たないものとして投棄する、という記述などは、陶技に対する木米苦心の様この赤色顔料の調製について、木米は、「赤絵釉仁清乾山」なる別の項を立ててほぼ同様のことを述べている〔図5]。いま、仁清の陶技を伝授された乾山の『陶工必用」(大和文華館蔵)に就いてそれを検する暇はないが、由来、釉上赤料の調製はを1方彿させると言ってよいだろう。ザ田ノ歪(銅粉1銭5分4厘・鉛粉1両l銭6分・硝粉l両2銭6分・石粉2銭)(硝粉1両5銭・緑青2銭・鉛粉l銭)(硝石2両・鉛粉1両2銭・蓉紅7分)(硝粉1両5銭・鉛粉l両・黒赫石〔酸化コバルト〕3分)(響紅10両・鉛粉10両・膠8銭)(石青l両・瑠璃硝子2両1■3銭)(石青1銭5分・緑青1銭2分・硝粉7銭)(金粉1銭・砲砂5厘)
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