同同同同同同（赤銅粉1分4厘・定粉l銭7分6厘•石粉2分・天晴環8分）（黒鉛末11匁•石末2匁1分・硝3匁・呉州5分）（赤銅1分4厘・天晴環1文目・定粉2文目•石2分）陶家の最も腐心するところであり、「陶法手録」に見えるその製法は、京焼赤絵の理解に新たな視座を与えるものと期待される。交趾釉などところで、木米は交趾手の名手としても知られていた。幸いにもこの手録には木米の交趾手に関する豊富な記述が見られるので、それについても一瞥しておこう。交趾手の彩料について、木米は「交趾色釉」「交趾」なる項目においてその配合を次のように記している〔図6、図7〕。白釉（生鉛〔鉛白〕1両・馬牙石〔珪石〕3銭5分）紫釉（白釉8銭・定粉〔鉛白〕3銭・無名子〔酸化コバルト〕2分5厘）黄釉（白釉1両・定粉2銭・紅梅響2分2厘）（白粉〔鉛白〕12匁．硝12匁6分・蓉紅4分）緑色釉（赤銅粉1分4厘・定粉l銭3分・緑硝1銭2分6厘・馬牙石2分）（鍮〔真鍮〕粉l分5厘4毛・鉛粉l銭1分6厘・緑硝1銭2分6厘・馬（鍮1分4厘・定粉l銭6分・石粉2分・天晴環1銭）青釉（定粉13匁・硝12匁6分・馬牙石2匁．鍮l匁6分）先の明炉五彩と同様、ここでも手録に見える交趾彩料の配合を子細に掲げてみた。中には天晴環など、意味を解しがたいものも含まれているが、これらの配合には、例えば緑色釉の諸方にも窺えるように、木米の工夫が余すことなく記されている。木米の交趾釉については、従来、それを鉛ガラス主体のものと見て、例えば永楽保全のソーダ・ガラスによる明るい色調とは多分に趣を異にする、などという指摘がなされてきた。しかしながら、いま、木米交趾釉の実際を知り得たことは、そうした観察のための具体的な指標が与えられたことになり、江戸時代後期の京焼における交趾釉の解明には好個の資料が見出されたと言ってよいだろう。また、この手録には、木米の交趾手に関わる記述が他にも多く見えている。それらは、例えば、交趾型物香合のための土型の製法〔図8〕、また、香合の内部に施され牙石2分）-44-
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