鹿島美術研究 年報第22号別冊(2005)
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注16点の作品は以下の通り。()内の斜体字表記は展覧会出品時に使用された作品名:《金色の縁のあるミニアチュール》(1916/7)、《眼のコンポジション、ミニアチュール風の(ミニアチュール)》(1916/8)、《下方に太陽のある、ミニアチュール風の》(1916/13)、《二つの小さな水彩画(二つのミニアチュール)》(1916/14)、《水彩(ミニアチュール)》(1916/15)、*《ヴァルサラ》(1916, 16)、*《世界としての花束》(1916/17)、《E(エンマ)(Eのあるミニアチュール)》(1916//18)、《色彩の世界を前にする太陽、複雑なコンポジション(ミニアチュール)》(1916/19)、《鱒のいる小川、ミニアチュール風の》(1916/71)、*《イニシャル(装飾画風の(ミニアチュール風の))》(1917/11)、《蝸牛の殻のあるミニアチュール》(1917/27)、《上下に黒い縁のあるミニアチュール》(1917/64)、《遊泳する魚たち(ミニアチュール風の)》(1917/67)、《(新ヴァージョン 創造する頭部)ミニアチュール風の》(1917/77)、《萎れるミニアチュール》(1918/124)。上記のうち、*を付した作品はクレー自筆作品目録に「ミニアチュール」の特記がある。第一次世界大戦期を含む1906年から1920年にクレーが展覧会に出品した自作の画題変更に関する近年の詳細な研究は、Jenny Anger, Paul Klee and the decorativein modern art, Cambridge 2004, pp. 207-244. O. K. Werckmeister, Klee im Ersten Weltkrieg, in: Paul Klee. Das Frühwerk 1883−1922, München 1979,S. 166−226; O. K. Werckmeister, The Making of Paul Klee’s Career 1914−1920, Chicago/London 1984■Jenny Anger, Modernism and the Gendering of Paul Klee, Ann Arbor 1997, pp. 61−94; Jenny Anger■Felix Klee(hrsg.v.), Paul Klee. Briefe an die Familie 1893−1940, Bd. 1, Köln 1979, S. 315■Karl Woermann, Geschichte der Kunst aller Zeiten und Völker, Bd.1, Die Kunst der vor- und■Alfred Woltmann(hrsg.v.)/Karl Woermann, Geschichte der Malerei Bd.1, Leipzig 1879; Alfred■M. Bernath(neu bearbeitet v.), Die Malerei des Mittelalters, Leipzig 1916Alfred Woltmann(hrsg.v.), ibid. S.Ⅵたとえばミニアチュールに関する記述頁の直前には図4のテキスタイル・カラー図版が掲載さKarl Woermann, ibid. S. 106, S.137ibid. S. 448−449■前田富士男「国内所蔵パウル・クレー作品の調査」、『鹿島美術研究年報第12号別冊』財団法人―115―ル』(1918、ミュンヘン)を著し、表現主義美術と中世ドイツ美術との並行現象として中世ミニアチュールを論じたアウグスト・L・マイヤーの研究(注27)をはじめとする表現主義代におけるミニアチュール研究、その一方で、ベルン近郊ヴァルダウの精神病者療養施設で過ごした画家アドルフ・ヴェルフリ(1864−1930)との接点や児童画の問題など、表現主義/プリミティヴ/ミニアチュールを結ぶ文脈における検証が、この作品群の意味をさらに解明するための今後の重要な方向性であると考える。鹿島美術財団、1995年、441−451頁れており、クレーにおける装飾的表現との関連性においても興味深い。außerchristlichen Völker, Leipzig/Wien, Biblio graphisches Institut 1900Woltmann/Karl Woermann(hrsg.v.), Geschichte der Malerei, Leipzig 18822004, pp. 79−81, pp. 88−91, p. 93, p. 96, p. 105, p. 113, pp. 145−146

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