―228―「二十八宿図」、さらに「黄道十二宮図」、最下部には各種類の花卉文様を描く。あと「奏楽図」「備茶図」「星象図」が多くなり、他の地区でよく見られる物を持つ侍女な三 張家口市宣化区宣化は遼時代には“西京”の帰化州に属する。現在、河北省張家口市にある一つの区であり、この地区で発見された10基〔表No.65−74〕の遼代後期の壁画墓は宣化遼墓と呼ばれる(注7)。墓主は全て漢民族であり、そのうち1基の墓主(張世卿)は官僚であるが、ほかは全て平民である。9基は磚で造り、1基は磚と石の混用である。構造は双室構成の墳墓が単室構成の墳墓より多く、双室構成が7基で、単室構成が3基である。墓室或いは後室の形は円形、六角形、八角形、方形の四種類あり、円形が5基、六角形が3基、八角形と方形がそれぞれ1基である。墳墓の向きは西南向と南向二種類である。南方地域のほかの二つ地区と比べて、北方地域から影響がやや強い。全体的に壁画の保存状態は良好で、特に1号墓、7号墓、10号墓の3基は、遼代の墳墓壁画の中でも最も保存状態が良い。画面は損傷もなく、色彩や墨線なども鮮やかである。宣化遼墓において、墓室の各壁面と墓頂全てに壁画を描くのが特徴である。墳墓が双室構成の場合、前室は前壁の墓門の左右にそれぞれ杖を持つ門衛1人が描かれていることが多いが、骨朶を持つ門衛が描かれている墳墓も1基ある。左壁には「備茶図」「散楽図」〔図10〕、右壁には「奏楽図」「牽馬図」〔図11〕が描かれている場合が多い。前室の後壁には多くの場合門衛が描かれるが、後室へのアーチ形門だけが描かれている場合もある。後室では、前壁の墓門の左右両側には杖を持つ門衛が描かれている。左壁には多くの場合鶴、花、窓、窓下の文房具を載せた卓、侍女などによる場面が描かれている。ときには「備経図」「備酒図」も描かれている。右壁には多くの場合には侍女挑灯、窓、窓下の経巻を載せた折り畳み式の卓、盆花などによる画面が描かれている。また「備茶図」が描かれている場合もある。後壁の壁画は三種類あり、一つは中央部に門庁図、左右両側に盆花、花卉図という構成である。そして花鳥屏風6扇が描かれているものと、あと一つ中央部に「婦人啓門図」、両側に花鳥図、という構成のものである。墓頂には複雑な星象図〔図12〕を描かれるが、これは宣化遼墓における一つの特徴である。墓頂の星象図は三種類あり、一つは中央に蓮花、周りに「二十八宿図」、さらに各種類の花卉文様を描く。もう一つは中央に蓮花、その周りに一つは中央に蓮花、その周りに「二十八宿図」「黄道十二宮図」「十二生肖図」最番下部に各種類の花卉文様を描いている。宣化区では画題の配置に一定の形式があり、二種類に分けることができる。また
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