注唐代の題画詩を扱った研究は数多いが、現存する詩を集めて注釈を施したものに次の文献があ 山水画について触れる詩は、題画詩のように実作品に関するものから、単に風景を絵のようであると評するようなものまで多岐にわたるため、正確な数字を挙げることは困難である。本稿では対象を、実際の山水画作品に関するものと、画家や画題、技法などについて何らかの具体的な情報を含むものに限った。なお、唐代の詩と絵画の関係を、「如画」などのように絵画を比喩に用いて風景を把握する用例に注目して論じたものに次の研究がある。山水画に関する詩も多数扱う。浅見洋二「初盛唐詩における風景と絵画」『山口大学文学会志』四二巻,1991年浅見洋二「中晩唐詩における風景と絵画」『日本中国学会報』四四集,1992年■ただし、中唐の女流詩人・薛濤(no.80)と、中唐の僧侶である景雲(no.81)、皎然(no.82〜85)については、その属性の関係上『全唐詩』の末尾近くの巻に配されているため、表では中唐の部分に組み入れた。また、補遺の部分に録された皇甫冉の詩一首(no.41)も、本人の部分に入れた。■ただし、劉商(no.48〜54)については、『唐代の詩篇』によらず、筆者の判断によるテキスト■拙稿「唐代の海図―その主題内容と絵画史上の意義をめぐって―」『古文化研究』2号,2003■中唐の著名な昇仙譚に、道士・瞿柏庭、女道士・謝自然の例があり、当時の士夫層にも影響を■樹石画の先行研究として、主に次の論文に示唆を受けた。―262―年中唐以降もこのような作品は引き続き描かれており、地域的に見ると三峡(四川省・湖北省、no.36, 80)や洞庭湖・瀟湘(湖南省、no.36, 72, 83)といった長江の上中流域が描かれる傾向が認められ、後者は瀟湘八景の源流としても注目される。また、富春江流域の浙江省桐廬にある名勝・厳子陵釣台を描いた例が散見され(no.66, 67,93, 101)、この時期に流行した画題と考えられる。他にも中国の内外の地域を描いた「華夷図」(no.113)など興味深い画題がみられる。今後、これらの主題にも考察が加えられ、唐代山水画への理解がさらに進むことが期待される。り、教えられるところが多かった。孔寿山『唐朝題画詩注』四川美術出版社,1988年を挙げた。この点については、次の拙稿を参照。拙稿「中唐の劉商について―詩人・樹石画家・道士としての生涯―」『古文化研究』4号,2005年,第1章,2〜3頁与えた。この点については、次の拙稿に触れた。前掲「中唐の劉商について―詩人・樹石画家・道士としての生涯―」第4章,19〜20頁宗像清彦「中国における樹石図の発生とその意義」『哲学』53集,1968年古田真一「中唐に於ける樹石図の展開について」『京都市立芸術大学美術学部研究紀要』29号,1985年
元のページ ../index.html#271