6682(1910年〜21年) ―385―(注4)。ることによって、当時の日本の政治的・社会的状況の中で、朝鮮の植民地統治を正当化したり、植民を奨励したり、労働を勧誘する可能性があったことを簡単に述べる第1章 女性風俗における眼差しの変遷女性風俗を描いた作品全55点の量的・時期的変化を示したのが、次の表「女性風俗の変遷」である。時期 第一期主題 既 婚 未 婚妓生及び芸能者合 計 この表では、女性風俗を描く作品を、女性たちの社会的属性を考慮して、まず大きく、婚姻の有無を軸に、既婚/未婚に分け、さらに特殊な存在として、妓生・芸能者を区別した(注5)。表から確認できることは、第一期では、すべての女性の様態―既婚者/未婚者/妓生・芸能者―に満遍なく眼差しが向けられていたが、第二期になると、既婚女性の表象―本論で扱うように労働に従事する女性表象―が急増する。そして、第三期になると、妓生・芸能者への関心が薄れていく反面、未婚女性の表象が大半を占めることとなる。このような変化が生じた理由については、3つの時期を通観する研究が必要である。本論では、さしあたり3つの時期のうち第二期の26点のみを取り上げ、朝鮮を「日本の郷土」―第一期の「彼らの朝鮮」から第三期の「我等の朝鮮」への移行イメージ――として表象する第二期の全体的傾向のなかで、朝鮮における「産米増殖計画」―「農村振興運動」―ばかりでなく「養蚕奨励政策」「兵站基地化政策」への関心が高まったことが原因のひとつであった可能性を指摘するにとどめたい。[女性風俗の変遷] 時 期 別 第二期(1922年〜36年)3 14(裸婦1を含む)2 4 (芸能者1を含む)9 26第三期(1937年〜44年)10(芸能者1を含む)20合計 25181255
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