■昭和53年度の埼玉県立博物館による美術工芸品(彫刻)所在緊急調査により見いだされ、その概要が『美術工芸品(彫刻)所在緊急調査報告書』Ⅰ(埼玉県立博物館 昭和60年)に報告された。■詳細は略すが、共に檜(か)材の割矧ぎ造りで、左脇侍は耳後を通る線で主材を前後に、右脇侍は正中線で左右に割り、共に面部を割って玉眼を嵌入する。なお左脇侍の重ねた掌の間に明瞭に珠を彫出するのが珍しい。■前掲注■の調査時には近世の厚い仕上げに覆われており、近年の修理ではこれを落として漆箔が置き直された。以下本文では近世仕上げを落とした状態でうかがえる作風を記述している。東京文化財研究所保存科学部による蛍光X線分析装置を用いた材質調査の結果による(津田徹―500―英氏による教示)。
元のページ ../index.html#509