―523―本報告は、造形美術中に胡服表現が盛んに採り入れられていることを作例で示し、北魏の漢化が急速に進む以前、すなわち480年代頃までは、むしろ「胡」を鼓舞する風が強く、「胡俗化」された仏教文化や漢文化が存在したことを指摘する。3.今回の国際会議に対する評価会議そのものは実質2日間であったため、時間的にはかなり忙しい日程であった。また、テーマの設定が分野や時代を限定していないため、発表の内容も多岐にわたった。このため5つの分科会に分かれて発表が行われ、聴きたい発表が重なってしまうケースも多かった。また、当日の質疑では、予定されたコメンテーターからの質問のみというケースがほとんどで、やや形式的な印象を受けた。最終日の総括も部会ごとの報告に終始し、テーマに対する全体的な討論はなかった。また、今回は報告時の使用言語として日本語が認められていたにもかかわらず、「日本語・中国語」の通訳がまったく準備されなかったのは甚だ残念であった。しかし、全体的に非常に友好的な雰囲気で、とくに、日頃外国の学会に参加する機会が少ない中国人研究者を多数招いた点は、高く評価したい。今回の国際会議は韓国学術振興財団、嶺南大学校、韓国民族博物館ほかいくつかの財団や研究基金からの助成金を得て開催しており、歴史学と関連する周辺分野との学際的な交流を目指している。将来もこの「○○から見た中国史」という手法で継続的に国際会議を計画しており、次回(時期未定)は「出土遺物から見た中国史」を検討中とのことであった。
元のページ ../index.html#534