―62―圭/董九如模古 画藪後八種四体譜」とあるもの。巻二が扉に「梅譜」とあるもの。巻三が扉に「竹譜」とあるもの。巻四が扉に「B毛譜」とあるもの。巻五は「?川真蹟」と題するもので奥付がある。白色題箋では巻二が「竹譜」、巻三が「梅譜」に入れ替わっている。四体譜の黄色厚手表紙で奉書摺の後印本の一群は中野氏の指摘通り後八種後印本と共通の外観であるが、全十三冊として伝わるものは少ない。東京芸術大学附属図書館は後八種八冊と四体譜五冊があるが、表紙の黄色の色調が異なっていて、取り合わせ本とみられる。中間報告として、諸本を大まかにグループ分けしておきたい。本体の紙が薄手(唐紙か)でやや小ぶりな一群がより早い時期のものであろう。五冊揃のハーバード大学燕京図書館所蔵本(Y40−742、同番号の後八種と一括で登録されているが表紙は異なっている。旧所蔵者は同じ。)の他、一巻と五巻がなく三冊合冊の大英博物館所蔵本(JIB514)、一〜三巻がなく、後八種八冊と合わせて十冊で伝えられる静嘉堂文庫所蔵本が紙質からこれに該当する。全て題箋はない。奉書摺で、黄色厚手表紙を持つものは後印本と考えるが、縹色の題箋をもつものの方が白色の題箋の本よりも摺りの状態などから見て先行する。題箋が縹色であるのは五冊揃の東京芸術大学附属図書館本、一巻と二巻がない加賀市立図書館聖藩文庫所蔵本、四巻のみの大英博物館所蔵本(JH124)、後八種の三冊と取り合わせて四冊で伝わる五巻のみの千葉市美術館所蔵本(ラヴィッツA−70)。題箋がないものの、紙質、摺りの状態から縹色題箋本と同程度と判断できるのは、中野三敏氏所蔵の二種である。後八種八冊と合わせて十冊で伝えられる三巻と五巻(中野氏A)と後八種の四巻と取り合わせである一巻と三巻(中野氏B)がある。題箋が白色であるのは、四巻と五巻がない千葉市美術館所蔵本(ラヴィッツA−132)と、二巻がないハーバード大学燕京図書館所蔵本(TJ6245−3210、同番号の後八種と一括で登録されているが題箋の色は異なっている。旧蔵者の蔵書印は後八種のみ。四巻の題箋は欠)。なお四体譜の大まかなグルーピングと、順序関係は後八種とも一致しそうな見通しである。今後検証をすすめたい。森蘭斎『蘭斎画譜』諸本について(中間報告)『蘭斎画譜』諸本の異同とその前後関係については以前述べたことがある(注6)。今回新たに調査した本について、その結果を報告し、現時点での見解を記す。国会図書館所蔵相見香雨旧蔵本(相見本)は、蘭部四巻竹部四巻の八冊揃である。刊記に七書肆の版元が記されるが、国会図書館所蔵の別本と比較して、紙質も異なり、
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