鹿島美術研究 年報第23号別冊(2006)
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―168―d)No.702、703アメリカ合衆国在住日本人作家なお、中国、東南アジア、ブラジルなどにも在住日本人作家の作品が所蔵されている可能性があるが、これらの国別整理はまだ途上にあるとのことで、今回の調査は断念した。各部門の詳細は、後出のリストに記述した。SFPから、整理番号、作家名、作品名のリストを提供されたものを基礎にして、裏面の書き込み判読やその後の調査により、作家名、制作年、所属団体などが判明したものには、それを追記した。それぞれの概要について次に記述する。4 分類別リスト内容a)No.724−2日本の写真展(1959−60年)出品作品〔資料1〕この番号を与えられている写真は、全く情報のない100点の写真と、すべて裏面に同一の写真エージェント(Orion service & trading co.,inc.)のスタンプが押してあり、ひとつのグループをなす197点のふたつのグループに分かれる。これらの収蔵の経緯、書類などのドキュメントはSFPには伝わっていない。ここでは、197点のグループについてのみ記述する。SFPの出版物Bulletin de la SFP(以下BSFP)1960年3月号に、SFPでの「現代日本写真展」の開催(1960年3月18日−31日)記事があり、記述から、このグループが同展の出品作であることはほぼ間違いない。ただ、台紙に貼り付けてあるものと、台紙からはずれているものが混在していることから、一部のみの展示にとどまった可能性がある。さらにそれぞれの作品に与えられた作家ごとの連続番号に欠番が多いことから、失われた作品があるはずで、これらの写真作品のセットが作られた当初の状態と、現在の状態は同じではないと推定できる。内容は、後出リストのとおり、20名の著名写真家の代表作各3〜15点 計 197点である。東松照明の2点のカラー作品以外は、すべてモノクロームプリントで、一部に破れや折れがある。制作年代は不明なものもあるがほとんどが1950年代後半の作であり、ヴィンテージプリントと言ってよい。現在、日本国内でも1950年代のヴィンテージプリントはごく限られた数しか確認されていないので、貴重なコレクションだといえる。No.733フランス在住日本人作家 

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