鹿島美術研究 年報第23号別冊(2006)
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―172―PHOTOGRAPHS FOR EXHIBITION ONLYNO COMMERCIAL VALUETO BE RETURNED TO SENDERS制作年記がないものが大部分を占める。別添リストどおり、いくつかの国際公募展への出品歴があり、裏面に出品票が貼られている作品も少なくない。一見して1930年代後半の作品が多いと思われる写真が、明記された制作年は1926年(1933年にも展示されてから送付)から1958年にわたり、戦前の作品が大部分を占める。ほとんどの作品の裏面に、印刷された以下の出品ラベルが貼付されている。チュア向け写真雑誌『カメラ』(アルス社)の主筆だった高桑勝雄が事務局長を務めていた。1938年頃には、関西にも支部もあった。返し喧伝していたことがある。それは国際写真サロン展応募の奨励である。1938年、高桑の熱意はそれまでにも増して、毎号のように国際サロン募集情報と応募奨励の文章を掲載し、読者に次のように呼びかけている。「出品申込書御入用の方々は私まで申し込まれれば、CPJで印刷の代用紙を送呈します。」(5月号)「出品希望の諸君はCPJ会員である無しを論せず、遠慮なく私に問合わせていただきたい。只4枚の四切印画が揃ってさえおれば、それをパリーサロンに送り出すことは私がやって差し上げる。」(6月)高桑が、パリをはじめ、世界各地で開催されていた国際写真公募展への、出品のとりまとめ、手続きの代行を行っていたことがわかる。上記の「CPJで印刷の代用紙」とは、このコレクションの裏面に貼られたラベルのことに違いない。高桑が送呈した用紙を使ったり、高桑に応募手続きをまかせたりした応募者の作品には、このラベルが使われていたと見てよい。この年、SFP主催の国際公募展、通称パリ・サロンの入選結果を発表する記事(12Camera Pictorialists of Japan(CPJ)Hon. Secretary(Mr.)K. Takakuwa1984Kichijoji near Tokyo. Japan吉祥寺2658No. Name TitleAddressCamera Pictorialists of Japan(以下ではCPJ)は、日本写真作家協会のことで、アマCPJの活動には不明なことも多いが、高桑がCPJを代表して『カメラ』誌上で繰り

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