鹿島美術研究 年報第23号別冊(2006)
222/589

1:春景閑居図、2:夏景書屋図■、3:秋景山水図■、4:瀑布松樹図■、5:秋景山水図、6:夏景山水図■、7:秋景書屋図■、8:春景閑居図 、9:山水図■、10:山水図とcを比較すれば、cはbに比べて岩の輪郭線が単調で、細い筆を重ねた皴法もやや力―212―a.不明b.紙本墨画著色、天地18.1×上弦51.2cmc.紙本墨画著色、天地18.5×上弦50.6cm*東京国立博物館蔵 便面図巻全十面:天地18.1〜18.8×上弦51.2〜52.4cmせず、足元も覚束ない様子である。②荷を背負う従者:a、cに比べ、bは対象の形態をより具体的にとっている。③小舟を漕ぐ人物:a、cに比べ、bは舟を漕ぐ実感のある前傾姿勢をとっている。3)岩の描写と皴法aは手前の岩の輪郭と皴を下方まで描ききらず、宙に浮いたような印象を与える。bないものに見受けられる。4)落款・印章a:落款「玉瀾」(右端下方)、印章「玉瀾」(朱文方印)落款の下b:落款「玉瀾」(右端下方)、印章「玉瀾」(白文方印)落款の下c:落款「玉瀾」(右端中ほど)、印章「玉瀾」(白文方印)落款の下5)材質、法量*リンデン民族学博物館蔵 扇面画帖全十面:天地18.3〜19.0×上弦49.5〜50.9cm一見すれば極めてよく似ているように見える三面であるが、描線、落款、印章の種類と位置を比較すれば、明らかに別々の三面であることが分かる。東京国立博物館蔵、便面図巻全十面とリンデン民族学博物館蔵、扇面画帖全十面は、すべての図様が一致するため、十面それぞれ各2図の類似作品を持つことになる。東京国立博物館蔵の便面図巻全十面の順番を基準とし、リンデン民族学博物館蔵、扇面画帖全十面の順番を()内に記せば、次の通りである。なお図の名称は『海外所在日本美術品調査報告』10リンデン民族学博物館 絵画・彫刻,古文化財科学研究会,2002年の記載によるものである。

元のページ  ../index.html#222

このブックを見る