国際会議開催)国際シンポジウム「林忠正―ジャポニスムと文化交流への貢献」Ⅱ.「美術に関する国際交流援助」研究報告―569―1.2005年度援助期 間:2005年11月11日〜13日(3日間)場 所:日本女子大学目白キャンパス 新泉山館(国際交流会館)大会議室報 告 者:日本女子大学教授、ジャポニスム学会理事長 馬 渕 明 子会議の経過とその成果2005年11月11日〜13日に開かれた国際シンポジウム「林忠正―ジャポニスムと文化交流への貢献」(主催:日本女子大学〔文学部・人間社会学部〕・ジャポニスム学会、後援:日本女子大学文化学会)では、国内外の作家・研究者11名による、多角的な視点からの研究成果の発表と、一般参加者を交えた白熱した討論が、日英2カ国語同時通訳付で行われた。美術商としてパリに1878年から1905年まで滞在し、1900年パリ万博日本館の事務館長を勤めた林忠正(1853−1906)は、西欧諸国への浮世絵と日本美術の紹介者として知られているが、西欧の日本美術コレクション形成やジャポニスムへの彼の貢献、国内の明治美術との関わりは、十分に解明されてこなかった。近年のジャポニスム研究の各国における深まりにおいて、この人物の重要性はますます高まっていると言える。今回のシンポジウムは、林の没後100年と、ジャポニスム学会創設25周年を記念して、海外の研究者4名、国内在住のフランス人研究者1名、および日本人研究者5名を招いて開かれ、文字通り国際的な研究成果の交換となった。初日には、『林忠正とその時代』の著者、木々康子(作家・林忠正の義孫)の基調講演で新しい問題点(フランスにおける浮世絵流行の時期、林が浮世絵を扱ったのはかなり遅い1890年頃からであること、日本国内での林への偏見や誤解、青年期の林が関わった「起立工商会社」社名の読み方など)が提示され、残り2日間の議論の争点ともなった。
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