―83―Anastácio Gonçalves のコレクションの中にある皿に形と文様が近似しており(注2)、文中では16世紀半ばとしているが、当破片は高台の削りからみて、もう少し遅いであろう。3)16世紀末〜17世紀初めの景徳鎮陶磁器4)1610年〜40年代にかけての景徳鎮陶磁器5)17世紀前半の一般にスワトウと言われるà州窯の陶磁器6)康煕年製の景徳鎮陶磁器7)18世紀の中国陶磁器1)染付皿〔写1〕下段左の破片は器壁が薄く、内面の壁の部分の文様が嘉靖年間の染付みられるものである。ポルトガルのAmaral Cabral コレクションに同様の文様を内面に配する皿がある。外面の文様は異なるが、文様の描き方は万暦のそれよりも丁寧である。見込みの文様は写真では良く見えないが、鷺と水草の文様で、16世紀半ばから1600年頃まで描かれたパターンで、嘉靖から万暦への過渡期のものと考えた。ガレオン貿易が1565年に開始しているのでおそらく厳密には隆慶年間から万暦初め頃の時期である。また〔写3〕の口縁部分は内側に全て水草に水鳥の組み合わせが描かれている。万暦年製のこの種の文様が内側に入るものは外面が区画に分けられ、鹿文と竹文、鹿文と花文の芙蓉手碗になっていて、ポルトガルのAnastácio Gonçalves のコレクションにも同様の芙蓉手碗は見られる。しかしこの場合、芙蓉手ではなく、器壁も薄い作りである。嘉靖年製のものに類似のタイプは見つけられなかったが、万暦の早い時期か、少なくとも芙蓉手の16世紀末から17世紀初めにかけて見られる鹿文の碗よりも早い年代のものである。〔写2〕は出土例がなく、推定でしかないが、前述の2)年代的には1)と3)の間に収まる。日本での出土例が多く、福井県朝倉一乗谷遺跡からの出土から日本では16世紀第三四半世紀時期が設定されている(注3)。底部が少し万頭心型になっており、見込みには様式化された花文や人物文が描かれる。〔写4〕や〔写5〕がこれにあたる。3)カリフォルニアのドレイク湾出土(1590年代)、フィリピンのサンディエゴ号(1600年沈没)、ウィッテレーウ号(1613−4沈没)からの引き上げ品と同タイプを中心とする。〔写6〕は口縁部に八方文を配し、見込みには鳳凰文が描かれる。特徴としては周囲に粗い曲線を巡らせている。ドレイク湾での出土から90年代には製産されて
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