鹿島美術研究 年報第23号別冊(2006)
97/589

注掲載した全ての写真はMuseo del Templo Mayor に所蔵されている陶片を公式な許可のもとに撮―87― Pinto de Matos, 1999, pp.73■小野正敏 1982■大橋1999■Pazos Pazos 1999, pp.139Cervantes, Gonzalo Lopez. “Porcelana Oriental en la Nueva España” Anales de INAH, México 1977Hoberman, Schell Louisa. Mexico’s Merchant Elite. 1590−1660, Silver, State and Society, Durham andLondon, Duke University Press, 1991Lasucuain García, Ana Rita Valero de. La Ciudad de México-Tenochtitlan Su Primera Traza1524−1534,の可能性を視野に入れると共に特に16世紀のアジアにおけるマカオとマニラの間の貿易関係を詳しく見ていく必要があるであろう。16世紀末〜17世紀初めをピークとしてその後の時代、特にハッチャーカーゴの積載品と同時期の陶磁器の出土が少ない傾向にあるのは1629年にこの地域をおそった大規模な洪水となんらかの関係があるとみられる。(この洪水によって、現在メキシコ市の発掘ではあらゆる時代の遺物が混入し、供判関係をみていく作業を殆ど不可能にしているといわれている。)洪水後も市場は再建されたが、17世紀終わり以降の時代に属する陶磁器が集中して出土しているのはカイエ・デ・リセンシアード・ベルダの一角にある、司教館跡のみであることから、これらが司教館で使用されていたものである可能性が高い。このことから市場の所在の変化、扱う商品の変化など、都市空間の構成や市場の性質に何らかの変化があったと考えられる。参考文献上田秀夫「16世紀末から17世紀前半における中国製染付碗・皿の分類と編年への予察」『関西近世考古学研究会』58頁大橋康二「15・16世紀における日本出土の青花碗に関する編年試案」『白水』1981「十六・十七世紀における日本出土の中国陶磁器について」『岡崎敬先生退官記念論集 東アジアの考古と歴史 下』1987「九州における明末〜清代の中国陶磁」『青山考古』第12号 1995「明末・清代における中国福建省徳化窯系磁器について」『大阪市文化財協会究紀要』第2号1999241頁小野正敏「15・16世紀の染付碗、皿の分類とその年代」貿易陶磁研究』No.21982西田弘子、出川哲朗『明末清初の民窯』中国の陶磁10、平凡社 1997影したものである。604頁55頁52頁71頁

元のページ  ../index.html#97

このブックを見る