装飾プログラムの詳細に関しては、注で挙げたペレカニディスによる研究の挿図I を参照さ■キリスト聖堂の中段のメダイヨンに描かれる旧約の預言者は、南壁の東からイザヤ、エゼキエル、エリヤ、オバデヤ、マラキ、ゼカリヤと北壁の西からヨエル、ナホム、アモス、エレミヤ、モーゼ、ゼファニヤ、ハガイである。また、メダイヨンの並びにではないが、東壁最上段の破風状区画にダヴィデとソロモンが描かれる。■カストリアのビザンティン聖堂壁画に関する最も代表的な研究と最新の研究を挙げておく。―208―■“Χαιρε σϕ´οδρα, θ´υγατερ Σι´ων κ´ηρυσσε, θ´υγατερ Ι(ερουσα)λ´ημ ιδου ο βασιλε´υς σου ´ερχετα´ι■“‘´Οψεσθε την ζωην ημων, Κ´υριε Μακρ´οθυμε”(Πελεκαν´ιδης, Καλλι´εργης, 80)■聖堂壁画における旧約の預言者像については、拙稿「ビザンティン聖堂壁画における預言者像:形、場、意味」『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』第23号、2007年、31−45頁を参照されたい。ビザンティン美術における預言者像に関する重要な研究について注の中で挙げている。注救世主キリスト復活聖堂の建築や壁画については以下を参照のこと。Στυλιανóς Πελεκαν´ιδης,Καλλι´εργης; ´ολης Θετταλ´ιας ´αριστος ζωγρ´αϕος, Athens, 1973, rep. 1994; Θανασ´ης Παπαζ´ωτος,ΗΒ´εροια και οι ναο´ι της(11ος−18ος αι), Ιστορικ´η και αρχαιολογικ´η σπουδ´η των μνημε´ιωντης π´ολης, Athens, 1994; Anna Tsitouridou-Turbié, “Remarques sur le programme iconographique del’eglise du Christ Sauveur à Veroia,” in Guntram Koch ed., Byzantinische Malerei; Bildprogramme -Ikonographie - Stil, Symposion in Marburg vom25−29. 6. 1997, Reichert Verlag Wiesbaden, 2000,337−344.ィンの人々は、旧約から新約への連続がキリストの到来、すなわち受肉によって成立し、神の救済の計画がキリストの死と復活によって成就したことを視覚的に理解したのである。おわりに以上のように、ヴェリアのキリスト聖堂における旧約の預言者は、新約場面の下に位置し身振り豊かに描かれることで、旧約から新約への連続とその根拠となるキリストの受肉という神学的な概念を強調している。身廊の南北壁面において預言者が新約場面の下に位置するという構図は、近隣のパレア・ミトロポリ聖堂において確認されるものの、そこでは預言者の身振りや視線による新約場面との視覚的な関係付けはなされていない。ヴェリアのキリスト聖堂の装飾プログラムを決定した人物は、近隣の聖堂壁画に見られる構図に従いながら、巻物を広げ持つ預言者を新約場面と積極的に関係付けて描くことで、単純な長方形の南北壁面において複雑な神学的概念を表したのであった。σοι”(Πελεκαν´ιδης, Καλλι´εργης, 80)れたい。
元のページ ../index.html#216