―225―中尊〔図4〜7〕は螺髪、肉髻珠、白毫相。肉髻と白毫の材質は不明。彩色及び鍍金は後補。ただし、後補の鍍金は背面のみ施されず、一部に当初のものかと思われる鍍金がのこる。髪際は緩やかなカーブを見せる。耳朶は貫通せず、耳孔不明瞭。人中をあらわす。三道相。内衣(僧?支)をつけ、衲衣は左肩から背中に回して右肩にまわり、さらに腹前を通って左肩から背面へと垂れる。裙をつけ、裾は地付まで覆う。左腕は垂下し一・四・五指を曲げ、ほかを伸ばす。右腕は屈臂し掌を正面に向けて立て、全指を伸ばす。左肘へとかかる二層の衣端は、上層の下端が腿半ば、下層の下端が足首まで垂れる。正面の2箇所に茶杓状の衣褶があらわされる。右側面・左側面の衲衣の衣褶には鏨での線刻は行わない。裙は両足外側面で複雑に折り返し、また背面中央部に縦四条の折り合わせを鋳出する。足ホゾはつくらない。左脇侍〔図8〜11〕は白毫相だが材質は不明。中尊同様、彩色及び鍍金は後補だが背面のみ施されず、一部に当初のものかと思われる鍍金がのこる。上部が六稜に分かれる円筒宝冠をいただく。宝冠に面を区画する線は無く、正面には宝相華を陽鋳し、化仏や水瓶などの標識はあらわさない。さらに周囲を宝相華文で埋め尽くし一周させる。天冠台は二条の紐と列弁文で構成される。頭髪は天冠台下に筋彫りをほどこすが、宝冠上にのぞく髻は平彫りとなる。耳孔は不明瞭で耳朶は貫通しない。人中と顎線をあらわす。三道相。条帛、天衣、裙、腰布をつけ、右手を上にして両手を重ねる。天衣は両肩にまとい、両前腕までかかる。裙は折り返し、正面で打ち合わせる。腰布は正面で中央部をやや引き上げるように纏って三角形の衣褶を形作り、左右に流れる。裙をふくら脛の横で一度絞り、そこからさらに地付部までを広がりながら覆う。足ホゾはつくらない。右脇侍〔図12〜15〕はほぼ左脇侍に準じる。円筒宝冠に刻まれる宝相華文や白毫の欠失、また両肩及び胸の衣褶などがわずかに異なるほかはほぼ同型である。○光台寺像構造三尊いずれも銅製鋳造。中尊は耳前からの前後合せ型による鋳造で、両手先を別につくり袖口にて銅鋲でとめるほかは一鋳する。銅鋲は袖部の内と外からとめるが、現在は外側にしか確認できない。左袖内側面のみ穴が2箇見られる。中型は頭部にまで及び、中型土をきれいに浚っており、僅かに鉄心が残存する。左脇及び左脇に型持のあとが見られる。銅厚は全体的に薄いが、湯のまわりが悪かったためか衲衣中央やや下部に3箇の丸穴がある。足ホゾをつくらない。左脇侍は前後合せ型を用い、宝冠中央を通る線で両手先を含め頭部から足先までを
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