―226―一鋳する。中型は頭部にまで及び、中型土もきれいに浚っており鉄心が確認できる。天冠台の左側面には丸穴があるが、右側面には折断した銅ホゾがのこる。さらに両肩及び両腰部には中型まで届く丸穴が見られる。両腰部には型持の跡が見られる。銅厚は薄く、足ホゾをつくらない。右脇侍はほぼ左脇侍に準じるが、鉄心の存在は確認できない。また天冠台両側面の丸穴にはともに折断した銅ホゾがのこる。三、光台寺像と東博像の比較検討東博像〔図16〕は中尊の茶杓状の衣褶や、両脇侍の梵篋印が胸前の高い位置で結ばれる点などが大きな特徴だが、光台寺像〔図3〕ではこれらの点はもとより、像高や髪際高をはじめとする各種法量、脇侍の腰布や衲衣に見られる三角状の折り返しなど細部に於いてそのほとんどがおおよそ一致しており、両者が同一の型による造像であることは間違いない。しかしながら、いくつか重要な相違点が存在するため、これら細部の相異について検討していく。まず中尊だが、衣文の細部に於いて大きな相異を見せる。一見して異なるのは両側面の衣褶で、東博像〔図18〕が肩から右腕にかかり垂下する衲衣外側の襞を鏨による刻線で処理するのに対して、光台寺像〔図5〕では鋳出しており、襞の数も光台寺像の方が多い。また右肘外側の襞を見ても東博像はわずか数段をぎこちなく処理するのに対し、光台寺像のそれはあくまで柔らかく写実的である。同様の差異は左側面では特に顕著で、東博像〔図17〕では左肩から腕へとかかる衲衣上層に、非常に不自然に湾曲する数本の刻線を入れるのに対し、光台寺像〔図7〕はあくまで自然に腕へと向かう柔らかな衣褶を鋳出している。さらにその下部の衲衣に到っては、東博像は鏨で直線を数本入れるだけであり非常に粗雑な処理をしている。裙の両側面に目を移すと、東博像〔図17・18〕が三条の襞をほぼ垂直に垂下させる単純な構成であるのに対し、光台寺像〔図5・7〕は左右ともに二度折り合わせたうえ、両足首の甲内側でさらに折り返すという複雑な衣文構成を取っている。また背面における裙の表現は、東博像は縦に二条の衣文線を垂下させるが、光台寺像〔図6〕では中心に二条を並べ、やや離れて左右に各一条ずつ衣文線をあらわしている。両脇侍においても両者の相違点は多い。衣褶を見ると基本的には同一の形だが、中尊同様、東博像〔図16〕では左肩から胸にかけての衣褶がやや直線的な処理となっているが、光台寺像〔図8・12〕では抑揚をつけた表現となっており、より自然な衣文となっている。また、冠K・垂髪・天衣を取り付けるためと思われる丸穴も、東博像
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