鹿島美術研究 年報第24号別冊(2007)
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*向老子致敬―中国首屆道教美術史国際研討会―523―期   間:2007年5月11日〜14日場   所:中華人民共和国報 告 者:清泉女子大学 非常勤講師  石 松 日奈子1.会議の概要「向老子致敬―中国首屆道教美術史国際研討会」は2007年5月11日から14日までの4日間、中国陝西省西安市の西安美術学院で開催された。道教美術史の国際会議としては、中国で初の開催となる。主催の西安美術学院は中国に7つある美術系大学の一つで、国画、洋画、雕塑、書、建築、デザインなどのコースで、約1万人の学生が学んでいる。会場となった大学内の大講義室はAV関係の設備が整っており、会議の報告会は在学生たちも熱心に聴講した。会議期間中の宿舎と食事は主催者の西安美術学院が提供し、参加者は学院に隣接する西安臻美文化芸術酒店に5月10日から宿泊した。会議の日程は第1・2日(5月11・12日)が研究報告、第3・4日(5月13・14日)が西安周辺の道教関連史跡の見学で、11日昼と12日夜に西安美術学院主催の宴会が催された。また、正規のプログラム以外に、第1日と第2日の夕食後、「青年論壇」という大学院生による研究報告会が自由参加形式で催された。第3日の夜はフランス人参加者の自主製作によるドキュメンタリー映画「韓信復仇記関于一個道教神話」(90分。湖南省新化県で撮影)の映写会があり、学会参加者に加えて学院生や近所の親子連れも来場し、なごやかな雰囲気の中での鑑賞会となった。参加した研究者の総数は約40名、うち外国からの参加者はアメリカ2名、フランス1名、オランダ1名、日本6名(神塚淑子、土屋昌明、鈴木健郎、酒井規史、田中知佐子、石松日奈子)であった。参加者の専門分野は概ね美術史と道教史であったが、画家や書家など実技部門からの参加者も見られた。研究報告は内容に応じて作品の年代順に行われた。第1日目は殷周時代の玉製品や青銅器に表された羽人や、漢代の鏡や画像石に表された東王公や西王母、昇仙図や伯牙弾琴図など早期神仙道教の作例、北朝期に流行した道教造像碑、隋唐時代の老君像や天尊像、道教経典、さらに西域の道教美術など13件の報告が行われた。第2日は宋・元・明・清時代の道教絵画や彫刻、道観の壁画や彩塑、道教的図像を表した陶磁器や漆器、民間道教の自然神や財福神、土地神、さらに日本の寺院神に及ぶまで、全

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