鹿島美術研究 年報第24号別冊(2007)
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―526―③シルクロードに於ける染織文化の考察Turkoglu、マルマラ大学教授のProf. Gunay Aykac Atalayer、テキスタイルデザイナーのGonul Pakosoyの4名、日本からはNPO法人国際テキスタイルネットワークジャパれた数件の石彫像で、それらには「永興」や「始光」という廃仏以前の北魏の年号が刻まれているという。李/氏はこれらを、5世紀初期の長安とその周辺地区で北魏の年号が使用されていた実例として紹介し、本人が挙げた根拠 は成立しないとした。さらに造形面から魏文朗造像碑の年代を論じた■についても同意しなかった。問題の新資料は王長啓氏の報告「西安出土的北魏佛教造像与風格特征」(『碑林集刊』〈六〉2000年)の中で紹介されている次の4件である。(中略)さて、本人は最近これら4件の新資料のうち、②永興3年銘像と④始光3年銘像の2件を実査する機会に恵まれた。そして、それらを詳しく観察した結果、2件ともに贋作であることを確信した。そこで、本報告ではまずそれらを贋作と見なす理由を説明する。その上で本人の根拠 の正当性を再確認し、あらためて魏文朗造像碑が424年の作ではないことを主張したい。期   間:2007年9月10日〜11日場   所:トルコ報 告 者:東北芸術工科大学 非常勤講師  中 島 洋 一国際会議の概要日本総領事館の後援を受けトルコのマルマラ大学とNPO法人国際テキスタイルネットワークジャパンの共催により2007年9月10日・11日の2日間トルコイスタンブールに於いて「Friendship and Peace on the Silk Road」が開催された。トルコからはトルコテキスタイルデザイン協会会長のUmut Oran、トプカプ宮殿前館長のSabahattinン代表のわたなべひろこ多摩美術大学名誉教授、文化女子大学の道明三保子教授と私の3名の計7名が2日間にわたり講演し、それぞれの発表に対して熱論がかわされた。また日本とトルコのテキスタイル現代作家による作品展と風呂敷のワークショップも同時開催された。講演タイトル「古典織物に観る日本人の美意識」1.緒言日本人は絵画や書だけでなく、それらを掛軸、屏風、巻物に仕立てて飾るときの表

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