■『扶桑略記』承平６（ママ）年３月６日条によると火災によって根本中堂以下の堂舎40余宇が焼■奥健夫氏は平安中期頃までの史料中の「等身像」は特定人物の等身を示すことが一般的だったとしている（奥健夫「「等身像」概念について」『美術史家、大いに笑う―河野元昭先生のための日本美術史論集』ブリュッケ，2006年）。ここでは文意から最澄の等身を示す可能性が高い。■速水侑『平安仏教と末法思想』吉川弘文館，2006年。堀池春峰「鎌倉時代に於ける南都仏教の動向」『南都仏教史の研究 遺芳篇』法蔵館，2004年（初出『南都仏教』43・44，1980年）。堀池春峰氏はこの法会について、末法を克服しようという気魄をみている。前掲津田論文注■。前掲西川論文注■。伊東史朗氏は法界寺像の肉身部と着衣部を分離する構造から、本体が生身像として制作された可能性を指摘している（伊東史朗「阿弥陀如来坐像 大阪・法道寺蔵」『平安時代彫刻史の研究』名古屋大学出版会，2000年〔初出『学叢』13，1991年〕）。法界寺の歴史については、堀池春峰氏の論考「日野・法界寺に就いて」『南都仏教史の研究遺芳篇』法蔵館，2004年（初出『大和文化研究』12−２，６，７，13−１，1967年）がある。氏は薬師造像を末法到来目前の現世利益信仰と位置づけている。本稿では末法到来目前という意味をより重視したい。長岡龍作「神護寺・薬師如来像再論」『朝日百科日本の国宝別冊 国宝と歴史の旅３ 神護寺薬師如来像の世界』朝日新聞社，1999年。長岡氏は平安初期の薬師如来像に見られる左手を曲げ持物を持って立つ姿や、本来僧形像に見られる法衣である横被を着している点に僧の姿を重ね合わせている。石田一良『浄土教美術』ぺりかん社，1991年。前掲速水著書注■など。前掲石田論文注。―259―時代彫刻史の研究』名古屋大学出版会，2000年（初出『国華』1132，1990年）。松浦正昭「天台薬師像の成立と展開」『美術史学』15，16東北大学文学部美学美術史研究室，1994，1995年。津田徹英「書写山円教寺根本堂伝来 滋賀・舎那院蔵 薬師如来坐像をめぐって」『仏教芸術』250，2000年。高梨純次「滋賀・金居原薬師堂木造薬師如来立像再論―平安中期における延暦寺根本中堂本尊像の「形」の認識についての試論―」『美術史論叢 造形と文化』雄山閣，2000年。など。亡したが、薬師仏像等は助け出されたという。
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