現時点で最新のカタログは,André Cariou(ed.)Yves Tanguy: L’univers surréaliste(exh.cat.),■拙稿「アーチの増殖」『水声通信』23号(特集シュルレアリスム美術をどう語るか),水声社,(trad.)Friedrich Nietzsche: Œuvres, Robert Laffont, deux volumes, 1993年注拙稿「イメージの領域:シュルレアリスムにおけるイヴ・タンギーの特殊性」『美学』223号,美学会,2005年,29−42頁。また稿者は、このような観点が、タンギーと同時代の視覚イメージとの接点を考える際に有効となりうることも示した。拙稿「未知の物体:イヴ・タンギーとエクトプラズム」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第53輯第3分冊,2008年,145−161頁■G. de Chirico “Noi metafisici…” Cronache d’Attualità,1919年2月;Fagiolo(1985),68−69頁■G. de Chirico “[Manoscritti Eluard-Picasso]” Fagiolo(1985),22頁■坂崎乙郎「キリコ:あるいは孤独の悲劇」『美術手帖』25巻373号,1973年,129−136,161頁;井関正昭「ジョルジョ・デ・キリコ:偉大なる魔術師」『SPAZIO』10−2巻21号,1979年,100−111頁■Wieland Schmied “L’art métaphysique de Giorgio de Chirico et la philosophie allemande:Schopenhauer,Nietzsche,Weininger” William Rubin et al.(ed.), Giorgio de Chirico(exh.cat.),Centre Georges Pompidou, 1983年, 93−109頁■Paolo Baldacci, Susan Wise(trad.)Chirico la métaphysique1888−1919, Flammarion, 1997年, 70, 95,Ibid., 72頁―299―Fagiolo(1985): Giorgio de Chirico, Maurizio Fagiolo(ed.)Il meccanismo del pensiero. Critica,Nietzsche(1993): Friedrich Nietzsche, Jean Lacoste et Jacques le Rider(eds.), Henri Albert et al.Somogy,2007年polemica, autobiograpfia1911−1943, Einaudi, 1985年形而上絵画は「無意味」を絵画化する。とすればデ・キリコの形而上絵画とは、世界の背後には形而上学的な「真の世界」など存在しないことを示すものとなる。「形而上(学的)」絵画が、「形而上学的」世界の不在を描く。これは確かに矛盾である。だが、既述したシュミートやバルダッチの形而上絵画解釈はまさにこのようなものである。「真の世界」がもはや仮構しえないとき、世界は全き「仮象」となる(もしくは真と仮象の区別が消滅する)のであり、世界は解釈されることによって「開示する意味作用」となる。では何故デ・キリコは、自身のイメージを形而上絵画と呼ぶのか。デ・キリコにおけるイメージと言語の遊離を記述するためには、次にこの問題を検討しなければならない。だが、これについては別の機会を得たい。文献略号2008年,3/4月合併号,89−97頁96, 126, 148, 182, 236, 248, 354頁
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