The delicacy and precision of his line work and the melting tone of his colours are beautiful beyond stating, but he has not the masculine vigour of conception that we find in Okio. This shows the almost unique power in a Shijo artist to take a religious subject well worked by great Chinese and Japanese artists, from Godoshi to Tanyu, and produce an entirely new version of it, and adequate to the purity, if not to the grandeur of the subject.― 150 ―り、芳園を「He was the last great all-round artist of Shijo.」と位置づけている。また、フェノロサは、ボストン美術館には芳園作品が60から70点あるといい、そのほとんどがビゲローのコレクションであることや、また、明治15年(1882)から明治22年(1889)の日本滞在の間に、ビゲローが特に芳園の作品を蒐集していたことを指摘している。フェノロサとビゲローの両コレクションの円山・四条派系の作品は270点以上(注4)に及ぶ。内訳は、Fenollosa-Weld Collectionに66点、William Sturgis Bigelow Collectionに208点となる。しかし、フェノロサが記すように、西山芳園の作品を60点から70点確認することはできない。また、円山・四条派系作品の多くは、ビゲローの蒐集によるものであったことがわかる。では、フェノロサやビゲローは、芳園作品をどのような点において評価したのであろうか。そこで『Epochs of Chinese and Japanese art』において、フェノロサが記した芳園作品について採り上げたい。フェノロサの芳園への評価については、次のように述べられている。フェノロサは、芳園作品の線描の精緻さや彩色の融けるような濃淡は、言葉で言い表せないほど美しいが、応挙に見られるほどの着想の力強い活力はない。しかし、四条派の画風において、自然の雰囲気の優しさや純粋さは、これ以上期待できないほど素晴らしい、などと述べており、芳園を高く評価していることがわかる。ボストン美術館に所蔵される作品の評価も行っており、《白衣観音図》、《江島富岳図》、《田家図》などをあげている。《白衣観音図》〔図1〕(注5)についてフェノロサは次のように述べている。つまり、この作品は、中国や日本の巨匠である呉道子や探幽によっても描かれた宗
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