⑷Miltiadis GARIDIS, Études sur le Jugement Dernier post-byzantin du XIVe à la fin du XIXe siècle, diss.⑸Anca POP-BRATU, Pictura murala˘ maramures,eana˘. Mes,teri zugravi s,i interferent,e stilistice, Bucures,ti,⑺Pop-Bratu, loc. cit.⑻va˘mileはvama˘の複数形に定冠詞がついた形。注⑴ただしこれらの教会堂の中には現在、東方正教会とは別宗派である東方帰一教会(グレコ=カJean-Claude LARCHET, La vie après la mort selon la tradition orthodoxe, Paris, 2004.univ. Paris, 1966(Thessalonique, 1985), p. 24.⑹Pop-Bratu, op. cit., p. 28. ポネハルスキは18世紀後半のマラムレシュで数多くの教会壁画制作に携わった。Marius PORUMB, Dict,ionar de pictura˘ veche româneasca˘ din transilvania, sec. XIII-XVIII,Bucures,ti, 1998, pp. 294−299.1982.トリック)の聖堂として用いられるものがある。⑵Seraphim ROSE, The Soul After Death, Platina, 1980.⑶拙稿、「テオドラの関所通過 ―『新バシレイオス伝』に見る東方正教会の死後の世界―」、『エイコーン 第37号』、東方キリスト教学会、2008年、2−23頁。なお報告者は日本語表記にあたり【関所】を用いることにしているが、ギリシア語テキストではτελω´νιαすなわち「税関(の数々)」と呼ばれる。仏語ではles douanes célestes、ルーマニア語ではva˘mile va˘zduhuluiと「天の税関」の呼称でほぼ定着しているようだが、英語の文献ではaerialがつかない場合やさらにtollgates、 toll-houseなど表記がまちまちである。― 211 ―も我々に説くようになった。結びにかえて本稿では詳述しないが今回得た知見には、これら18世紀マラムレシュの〈最後の審判〉の数々において、地獄に割り当てられる空間が、過去の作例と比較して増大していることもあった。今回調査した〈最後の審判〉では【関所】が含まれない作例も含めて、地獄が占める割合が増大し、罪人の懲罰の様子も詳細化している。【関所】が組み込まれる場合、神の裁きを描く空間もさらに増大することとなり、従来の〈最後の審判〉における、キリストから見て右に善人と天国、左に悪人と地獄という対称性が変化している。悪事の精査と罪人の懲罰の光景が占める割合が拡大し、加えて悪事精査の場面が「いつか起こる」公審判のみならず「今生じている」私審判をも表現していることから、報告者は〈最後の審判〉そのものの主旨が「主は再臨し万民を裁く」から「主は悪人を断罪し懲らしめる」へと変化していると想定するに到った。本助成によって得られた成果をもとに、今後の研究を進めたい。
元のページ ../index.html#221