― 575 ―③ 「東京芸術大学・ボローニャ大学共同シンポジウム 日本とイタリアの歴史的都市―その保存と変容」本セミナーは、司会進行を木村が担当した。準備されたテキストはなく、また、通訳なしでのセミナーであった。フュマロリ氏の意向もあり、コレージュ・ド・フランスにおけるセミナーと同じ形式で進行したからである。まず、フュマロリ氏による基本的な口頭発表があり、その後、長時間に及ぶ質疑応答があった。参加者は塩川徹也氏をはじめ、日仏美術学会関係者としては、高階秀爾会長、鈴木杜幾子氏(明治学院大学教授)、大野芳材氏、栗田秀法氏(名古屋芸術大学准教授)、矢野陽子氏(青山学院大学講師)、小泉順也氏(東京大学グローバルCOE共生のための国際哲学教育研究センター特任研究員)の他に、フランス近代美術を専攻する大学院生が参加した。エリカ・ペシャール氏の支援もあった。総数20名前後であった。質疑内容では、アカデミーの修史官であったフェリビアンの位置の問題、1648年における王立絵画彫刻アカデミー設立に際した定款の内容についての問題等、専門性の高い論点での議論が続いた。フュマロリ氏の見解の1つは、たとえばアカデミーにおける工芸分野の分析、あるいは、そのカリキュラム内容についての研究などは、今後の課題として残されていることを指摘されている。期 間:2010年4月10日〜11日場 所:日本、東京藝術大学報 告 者:東京藝術大学 美術学部 教授 越 川 倫 明本シンポジウムは、4月10日㈯と11日㈰の両日、東京芸術大学美術学部中央棟第一講義室を会場として開催された。主催者は、東京芸術大学美術学部、およびボローニャ大学高等学術研究所COEプロジェクト「都市の研究」の両者であり、在日イタリア大使館より後援をいただいた。開催のための助成は、鹿島美術財団のほか、SERINAR(Servizi Integrati d’Area)、イタリア文化会館、東京芸術大学国際交流基金からそれぞれ援助をいただくことができた。本企画は、ボローニャ大学と東京芸術大学の協力により、「歴史的都市」をテーマとして、美術・建築・都市計画・音楽など多方面の研究者を交えて考察するシンポジウムである。ボローニャ大学のCOEプロジェクト「都市の研究」は、イタリア政府からの予算措置を受けて、2009−2015年にわ
元のページ ../index.html#586