鹿島美術研究 年報第28号別冊(2011)
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― 180 ―⑹ 第6身:赤茶色の長袍を着けた男性立像。榜題は判読不能だが、『題記』によれば「……守左衛□(正)守左衛延州延□(川)/……都尉上柱國」(『ペリオ』もほぼ同様)。以上の6身は西壁龕下にあり、頭部は先頭の比丘以外見えなくなっている。⑺ 第7身:白色の長袍を着けた男性立像。眼、■頭下部、靴が見え、胸前に笏を持つ痕跡が確認できる。榜題は判読不能。⑻ 第8身:赤茶色の長袍を着けた男性立像。笏を持つ。榜題は判読不能。⑼ 第9身:赤茶色の長袍を着けた男性立像。男性供養者像中、残存状態がもっともよく、■頭、眉・眼・口・髯、両手で持つ笏などが確認できる〔図3〕。榜題は『題記』によれば「□男□戎校尉守左毅衞翊前右郎/將員外置同正員外□郎紫金魚袋/上柱國嗣瓊」で、現地調査ではこのうち中央行と右行(第2、3行)の上半分ほどが判読できた。⑽ 人物像一体分のスペースはあるが現状では表面に画像は確認できない。榜題は『題記』によれば、「……品子嗣玉/……男嗣玉」(『ペリオ』も同様)で、現地調査では中央行の「□子嗣玉」が確認できた。以上⑺〜⑽は土壇の南面である。つづく東面にはこれまでの供養者像よりやや小さな、従僕と思しき人物立像が2体接して並び、前方は緑色、後方は灰色の着衣をまとうが、表面の損傷が著しく、頭部や持物は確認できない。やや離れて最後尾の北端部に赤色の彩色が認められ、あるいは人物像かもしれないが判然としない。なお、ペリオは男性供養者像の列の最後に彼らの乗ってきた馬がいると記録している。《向かって左側(南側)》⑴ 第1身:赤茶色の裳を胸高に着けた女性立像。柄香炉を持つが、上半身の輪郭は消えて見えない。裳裾に反り返った沓先の痕跡が見える。榜題は『題記』によれば「妻南陽張氏供養」(『ペリオ』にも同文あり)で、現状では「供養」など一部のみ確認できる。この人物の後方に人物像一体分ほどスペースがあるが、画像を確認できない。⑵ 第2身:淡緑色の上衣に赤茶色の裳を着けた女性立像。榜題の有無は確認できず、『題記』にも記録はない。⑶ 第3身:灰紫色の上衣に淡緑色の裳を着けた女性立像。榜題はやはり確認できず、『題記』にも記録はない。以上の女性像は頭部を確認できない。⑷ 第4身:淡緑色の上衣に白色の裳を着けた女性立像。顔面の輪郭線は見えないが

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